2010年3月1日

科学としての医療


このコラムでは、私たちが実践している栄養療法の根拠となっている分子整合栄養医学について少しずつお話していこうと思います。まず第一回の今回は実証科学である分子整合栄養医学の姿についてお話ししようと思います。 

 分子整合栄養医学は「分子の目で体や病気を解明しよう」とする科学です。ミクロの眼で体内を眺め、遺伝子やたんぱく質、細胞内外の信号伝達にかかわる物質、代謝などを長年研究し、病気の仕組みや遺伝による個人差などを解明してきました。

 その間、たくさんの薬が開発されてきましたが分子整合栄養医学が出した結論は「体に本来存在する物質すなわちたんぱく質や脂質、ビタミンやミネラルなどを使った治療」に勝る薬はないというものでした。体が本来知っている物質を使えば予想外の反応がおこることがなく、体の調節機構により副作用が少なくなるからです。更に1990年以降の研究によってビタミンやミネラルにはこれまで知られていた以上の治療効果があることがわかってきました。

体の仕組みは奥深く、まだまだわかっていなことがたくさんあります。現在行われている治療よりも更によい治療が開発されることもあれば、現在行われている治療の間違いが判明することもあるでしょう。「常識と反する」というだけで無視や攻撃を受けてきた治療法が後に正しいと分かったことは少なくありません。一般に研究成果が医療に生かされるまで40年かかると言われています。その40年を少しでも縮めること、出来るだけ多くの人々が科学の恩恵を受けることが私たちの目標です。私たちの試みている分子整合栄養医学が世界のスタンダードになることを目指してこの1年進んでいきたいと思います。

 

「真の治療とは生命力へのプラスになるようなものでなければならない(Hans Carossa)」