2010年4月1日

鉄の話 ②
鉄の働き-不足したらどうなるか




 
 前回は「危険な」鉄に対し体が23重の防御機構を持っている話をしました。

今回は鉄がどのように役立っているかの話をしたいと思います。体に含まれている鉄のうち6070%は赤血球のヘモグロビンに含まれて酸素を運んでいます。酸素は生存に不可欠な物質です。約30%は体内に貯蔵され、残りのたった0.7%が酵素の中で「機能をしている鉄」です。

 酸素は生存に不可欠なので貯蔵鉄がほぼゼロになっても体はヘモグロビンを作り続けます。最優先でヘモグロビンに回す結果「機能する鉄」に回る分がほとんどなくなります。たった0.7%であっても「機能する鉄(含鉄酵素)」が不足すると大変なことになります。

 例えば、エネルギー産生が出来なくなります。活性酸素の消去が出来なくなります。髪や爪、皮膚、粘膜の再生が出来なくなります。神経伝達物質が出来ません。白血球が細菌を殺すことも出来ません。代謝がものすごく低くなって何も出来ない体になります。

頭痛や肩こりが起こり、冷え性が続き、のどにいつも何かつかえた感じがして髪や爪には生気がなくぶつけてもいないのにあざができ、いつもうつ気分で何も考えられなくなります。こういった症状はゆっくりゆっくり進むので気づいた時にはいつから症状があったかわからない位です。自分に症状があることさえ気づかない人さえいます。

 ヘム鉄を摂取するだけで、驚くほど症状が改善します。「もしかしたら自分は鉄欠乏なのではないか」と疑うことが大切です。鉄欠乏の診断についてはまた次回に説明します