2010年5月1日

「効果がなければ栄養療法とは言わない」


「効果がなければ栄養療法とは言わない」

 今回はこんな過激なフレーズで始めてみました!栄養療法では治療の効果が出るまで量を調節するので当たり前といえば当たり前です。

 ただし「効果」という言葉は人によってとらえ方が違うのではないでしょうか。

 高血圧の薬の評価は「どれだけ血圧が下がったか」で行います。糖尿病の薬の評価も「どれだけ血糖値が下がったか」を指標にしますね。栄養療法の場合にも数値で評価できるものがたくさんあります。「機能」や「酸化指数」、「栄養素の量や貯蔵の程度」を数値化することが出来、実際に効果の評価にも使っています。

 しかし、栄養療法はもっともっと深い意味の効果を考えています。

 そもそも病気はなぜ起こるのでしょうか。一つは「本来ある機能が損なわれたり衰えたりする」ためです。「調節機能」の異常が「高血圧や糖尿病」としてあらわれ、神経伝達物質の量や調節の低下が「うつ病」としてあらわれます。老化とともに肺や心臓の機能が衰えたりするのもそうですね。また「体が傷つくこと」が動脈硬化や癌の発症のきっかけになります。

 これは「体がもつ抗酸化や修復機能の衰え」と言い換えることも出来ます。「認知症」などは「神経機能の衰え」と「細胞や組織の傷害」が複合して発症すると考えられます。

 病気の治療をする時に、表面に現れた現象 だけを改善するのではなく、原因となっている機能低下や調節の乱れを改善するのが「栄養療法」の考え方です。効果が出るまでに時間がかかりますが「根本原因に対する治療」を行うことが出来ます。うまくいけば薬をやめることも出来るようになります。

 栄養療法の診断や効果-特に個人差については、詳しく説明しなければならない問題がたくさんあります。また次からのコラムでご紹介していきますね。

「医療は科学に基づいた芸術である」

Sir William Osler1849–1919))