2010年7月1日

ビタミンB群②
-生命活動に必要な補酵素とは?-

 前回、ビタミンB群は補酵素であり、補酵素がないと体の工場システムが止まってしまうという話をしました。ではビタミンB群はどのような生産ラインに関わっているのでしょうか?皆さん「エネルギー源は炭水化物と脂肪、体をつくるのはたんぱく質」と習いましたね。それだけでなく炭水化物と脂肪、たんぱく質は相互に入れ替わっています。ぶどう糖をエネルギーに変える途中にTCA回路(クエン酸回路)という代謝経路を通ります。そこはロータリーのようになっていて脂肪酸や特定のアミノ酸が出入り出来るようになっています。ぶどう糖が足りなくなればアミノ酸からぶどう糖をつくったり脂肪酸を分解してエネルギー源としたりすることが出来るのは、このようなロータリーが存在するためです。
 このTCA回路ではビタミンB群が大活躍しています。TCA回路の門番・ピルビン酸脱水素酵素の補酵素であるビタミンB1、ぶどう糖の新生に必須のアミノ酸転換酵素の補酵素B6、脂質との橋渡しをするCoAとなるパントテン酸などが代表例です。またエネルギーの受け渡しにはナイアシンを原料とするNAD(P)+/NAD(P)Hシステムが大切です。ビタミンB群は相互に助け合っており、代表例に挙げたビタミン以外でも1種類でも不足すると代謝経路全体が止まってしまうので補うのであれば全部補う必要があります。
 ビタミンB群は神経細胞の機能やDNARNAの合成・代謝などでも重要な役割を担っています。それはまた次回に譲ることにしましょう。