2010年9月1日

ビタミンB群④
-核酸とビタミンB群-

 前回までにビタミンB群はエネルギー産生、たんぱく合成に、神経の働きに重要という話をしてきました。「ビタミンB群は何となく疲れによいのでは」と漠然と思っていた方もちょっと納得していただけたのではないかと思っています。
今回は、ビタミンB群は生命にとってこんな重要な働きももっていますよ! という話です。核酸をご存知ですか? 生物においてすべての情報は遺伝子(DNAの中に入っています。どんな生物になるべきか、どんな細胞になるべきか、どんな物質を作るべきかすべては遺伝子が決めています。たんぱく質の合成は遺伝子情報をRNAが読み取ってたんぱく合成工場に運ぶことで行われています。核酸はDNARNAなどの総称です。
赤ちゃんや成長期の子供はもちろんのこと、大人になっても細胞の分裂は続いています。特に分裂が活発なのは腸の上皮細胞と免疫担当細胞(白血球)などです。核酸の供給が断たれると真っ先に元気がなくなるのはこの二つ! つまり栄養吸収能力と抵抗力が落ちてしまいます。いろいろと持病を持っていた方が最後は感染症で亡くなることが多いのもこのことに無関係ではありません。
核酸は重要な物質なので、多くはリサイクルされています。一部は肝臓で新しく合成されます。このリサイクルと合成の時は、グルタミン、アスパラギン酸などのアミノ酸と葉酸を材料とし、補酵素としてナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12を使用します。
お酒飲みの方が血液検査をするとMCV(赤血球の大きさの指標)が大きくなっていることが多いです。これはビタミンB12、葉酸が欠乏している危険サイン! つまり赤血球や白血球を分裂させる力が落ちていると言うことです。胃の粘膜が委縮した方やピロリ菌感染をしている方もビタミンB12や葉酸の吸収が低下してMCVが大きくなります。(ただし鉄欠乏がある方はMCVが小さくなってわかりにくいことがあります)。
また、葉酸やビタミンB6B12が不足すると代謝が滞りホモシステインという物質がたまりますが、ホモシステインは動脈硬化や血栓症の危険因子として知られています。
ビタミンB群は若返りの秘策でもあったんですね。以前もお話しした通り、ビタミンB群は8種類全部が同じように必要です。またたんぱく質、その他のビタミン、ミネラルも一緒に摂ってくださいね。