2010年12月1日

ビタミンCの話③
-再生のネットワーク-


体が活動すると必ず活性酸素が生まれます。活性酸素は組織を傷つける作用を持っているので、出来た場所ですみやかに消去できるように様々な抗酸化機構が発達しています。抗酸化機構を助ける抗酸化物質には、いくつかの住み分けがあります。たとえば、脂溶性ビタミンであるビタミンAやビタミンEは中性脂肪やコレステロールと一緒にリポ蛋白の中心部に包まれて組織に運ばれ、ビタミンAは比較的酸素濃度の低い脂溶性の部分に、ビタミンEは酸素濃度の高い細胞膜などに分布して抗酸化作用を発揮します。

ビタミンCは水溶性ビタミンの代表で、特に細胞内で効力を発揮しています。

(細胞外や血液中の最も重要な抗酸化物質は尿酸です! ご存知でしたか?)

抗酸化物質というのは、相手に電子を渡して無毒化するときに自分自身は酸化されます。ビタミンCは酸化型、またはラジカルの状態でも大変安定していて傷害性がないので有能な抗酸化物質なのですが、それでも再び効力を発揮するためには元の形(還元型)に戻る必要があります。再生の方法には次のようなものがあります。

 

    ナイアシンとビタミンBを使って還元型に戻る

    一分子は還元されもう一分子は酸化されてデヒドロアスコルビン酸になる

    デヒドロアスコルビン酸はグルタチオンを利用して還元型になる

 

再生の時には、上図のように他の抗酸化物質を利用します。互いにネットワークを作って再生しあい、すべての抗酸化物質が有効活用できるように支えあっているのです。

 




またデヒドロアスコルビン酸は、ぶどう糖と同じ経路を通って細胞内に取り込まれ還元型に変わります。糖尿病などで高血糖の時にはデヒドロアスコルビン酸が再生されないので、活性酸素の消去がうまくいきません。糖尿病とビタミンCの問題は大変重要ですので、次回にまた説明しましょう