2011年7月10日

暮らしに役立つ栄養療法
-熱中症対策!-
~汗をかく仕組み~


今年も暑い夏となりそうです。節電のためエアコンをつけずに頑張っているご家庭も多いことでしょう。暑い夏だった昨年は熱中症で救急車のお世話になった方が多数いらっしゃいました。熱中症は梅雨の合間や梅雨明けに、急に気温が上がった時が特に危険です。ぜひ皆さんも早くから熱中症対策を心がけましょう。

熱中症対策は「水分・塩分・無理せず冷やす」の3本柱です。汗は体温調節に大切な仕組みです。汗が蒸発するときに気化熱が奪われて体温が下がります。扇ぐと涼しいのは皮膚の周囲の湿度が下がるので、より蒸発が速くなるからなのですね。汗を拭きすぎると効果が薄れてしまいますので要注意です。

汗をかく時は、体温上昇を感知大脳から指令交感神経汗腺と信号が伝わります。汗腺ではポンプ(Na-K-ATPase)を働かせて汗のもとを作り出します。最終的な汗には水分ともに塩分(NaCl)とカリウム(K)が含まれています。

汗に含まれるナトリウムとカリウム、水分を補うことはとても大切です。しかし必要なのはそれだけではありません。汗をつくるポンプを動かすためにはエネルギーが必要です。汗をかくにもかなりのエネルギーを使っています! 道理で疲れる訳ですね。エネルギーを作るためには、カロリー源のほかにビタミンB群、ビタミンCなどが使われます。ですから水分と塩分ばかりに気をとられずにしっかり食事を摂ることが重要です。

熱中症対策にスポーツ飲料が推奨されることがありますが、飲み物で糖分を摂る必要はありません。水かお茶と梅干しおにぎりなどちょっと濃い味のご飯で十分です。糖尿病や低血糖症の人は、おにぎりの代わりにアミノ酸やたんぱく質でカロリーを摂りましょう。そしてビタミンを摂るために夏こそ肉や魚、野菜をしっかり摂りましょう。熱中症を防ぐとともに夏バテ防止にもなりますよ。

夏は脱水による脳梗塞が増える時期ですね。次回は脳梗塞を防ぐコツについてお話ししましょう。