2012年1月10日

食事療法の嘘?本当?
-妊娠糖尿病と言われたら-


医学も進歩して多くの母子の命を救うことが出来るようになりましたが、まだまだ命に関わる合併症も存在します。妊娠合併症を防ぐことは健康な赤ちゃんをより安全に出産する上で欠かせません。

代表的な妊娠合併症の一つに妊娠糖尿病があります。また妊娠前から糖尿病だった方も悪化しやすい時期なので注意が必要です。

糖尿病に対してまだまだカロリー制限を中心とした指導が行われていますが、妊娠期にはたくさんの栄養素が必要です。カロリー制限でみなさんが真っ先に控えるものはなんでしょう? 肉や卵、揚げ物やお刺身、たらこやいくらといったところでしょうか(何故か大福やケーキは食べたりしますけれども・・・)そして豆腐や野菜とご飯が中心のメニューになることでしょう。

豆腐などの大豆製品と野菜とご飯に含まれる必須栄養素を計算してみましょう。必須栄養素(ビタミンB群や鉄、亜鉛など)の含有量の少なさに愕然とするはずです。たんぱく質の中でもいくつかのアミノ酸はかなり不足しています。ではどの食品がどれだけカロリーがあるのか、どれだけ血糖値を上げるかを計算してください。意外にご飯のカロリーは多いこと、血糖値を上げやすいこと、肉や卵や脂質はあまり血糖値を上げないことなどに気づくでしょう。血糖値を上昇させるのは糖質・炭水化物だけです。合理的に考えれば糖質と炭水化物を減らすことが糖尿病の予防と治療に最も重要です。かわりにたんぱく質食品を摂ればビタミンB群や鉄、カルシウムなど胎児の成長に必要な栄養素を摂ることにつながります。

 すでに多くの方が糖質制限食による安全な出産を経験しています。安全な妊娠と出産のために糖質制限食が出来るだけ早く一般に普及することを願っています。