2012年3月10日

食事療法の嘘?本当?
-糖尿病は万病のもと-


「風邪は万病のもと」とは昔からよく言われます(これは風邪そのものが他の病気のもとになる場合と最初は風邪のように見える重大な病気がたくさんあることを経験的にあらわしたもののようです)。

今回は「糖尿病は万病のもと」という話とその理由についての話です。糖尿病だと肺炎や傷の化膿など感染症が重症化しやすいこと、心筋梗塞、脳梗塞、動脈が詰まった結果起こる足の壊疽(えそ)が起こりやすいことはよく知られています。最近はそれに加えて癌の発症率が高いことが知られるようになってきました。これらのおおもとの理由は同じものです。

体には病気を防ぐ仕組みがたくさんあります。その中でも感染の防御と活性酸素の消去はとりわけ重要です。この二つを担う大事な栄養素にビタミンCがあります。ビタミンCは血液中を運ばれた後必要な細胞にどんどん入っていきます。細胞膜を通過できないため膜の運び屋(担体(たんたい))と一緒に入ります。この時ぶどう糖を細胞内に入れる担体と同じものを利用します(図参照)

 


糖尿病では血液中のぶどう糖濃度(血糖値)が高いので通常のビタミンC濃度では細胞内に入ることが出来ません。その結果細胞内のビタミンC濃度が大変低くなります。また血液中で抗酸化に使用された使用済みビタミンC(デヒドロアスコルビン酸)を再生するためには一度細胞内に入れる必要がありますが、細胞内に入ることが出来ないので血液中のビタミンCも効力のない使用済みビタミンCばかりになってしまいます。

 細胞内では活発な代謝が行われるので常に活性酸素やフリーラジカルが発生しています。活性酸素やフリーラジカルのやっかいなのは、連鎖反応を起こして少し離れた組織にも傷害を起こすことです。結果、遺伝子や細胞膜など複数の領域に傷が付き発癌の原因となります。

この状況を改善する方法は二つ! 血糖値を上げないこととビタミンCの濃度つまり摂取量を増やすことです。健康に良いことには理論的根拠があるのです。