今回は前回に引き続き脂質の摂り方について解説します。 必須脂肪酸が体の中で何をしているのか考えてみましょう。
細胞の膜は脂質二重膜とコレステロール、たんぱく質などから出来ています。脂質二重膜を構成しているのはリン脂質で頭部は親水性、脚は脂肪の鎖が2本つながった疎水性の構造をしています。たいていの場合脂肪鎖の1本は飽和脂肪酸ですべての炭素に水素が2個ずつついています。もう一本は不飽和脂肪酸で何ヵ所かの炭素が二重結合で結合しているため水素が1個ずつしかついていません。二重結合のまわりの水素の付き方によってシス型、トランス型があります。生体の脂質の約99.9%はシス型です。
マーガリンや加工食品に含まれるトランス脂肪酸は、生体が利用できないため多すぎると害をもたらします。ファーストフードにおいてトランス脂肪酸が規制されるようになったのはこうした知識が一般に広まったためです。
下図のようにシス型の不飽和脂肪酸は二重結合の部分で折れ曲がっています。二重結合の場所と個数により折れ曲がりの 程度や膜の柔らかさ、横への動きやすさなどが左右されます。