2013年6月10日

病気はなぜ起こる?
-肺の炎症と病気③「肺気腫」-


今回は肺気腫について取り上げます。肺は酸素や二酸化炭素などのガスの交換を行う場所ですね。ガス交換が効率よく行われるように気道の先端はぶどうの房のようになっていて(肺胞と呼びます)血液と接する面積を増やしています。図の中で部屋の仕切りのように見えているところに血液が流れています。肺気腫ではこの仕切りが炎症によって壊れて大きな空間が出来ています。ここでは空気があってもガス交換を行うことが出来ません(図1)。

 


ここまで壊れてしまうと、もとにもどすのは難しいので早めの発見が大切です。

風邪でもないのに咳や痰が長引いたら肺気腫を疑いましょう。坂や階段で息切れがした時には結構進んでいます。

肺気腫の早期発見には呼吸機能検査が簡単で有効です。肺活量は減っていないのに一秒率が低くなっているのが特徴です(図2)。空気を吐くときに気道がつぶれてしまうので吐くのに時間がかかるからです。

 


「肺気腫になったら治らない」と悲観せずに早め早めに手を打ちましょう。まず大切なのが禁煙です。喫煙は炎症を起こして活性酸素を発生させ肺を壊す一番の原因になります。

症状がある場合には気道を広げる吸入薬、血液中の酸素が減る場合には在宅酸素療法を用いれば長く元気に暮らすことが出来ます。苦しいのを我慢していると心臓に負担がかかるので我慢は禁物です。

肺気腫になって痩せてきた方はカロリーが不足しています。じっとしていても呼吸にたくさんのカロリーを使っています。筋肉を壊してカロリーに変えてしまうのでたんぱく質とカロリーの両方を補いましょう。ビタミンCは感染予防と炎症改善に有効です。炎症が起きても活性酸素をすぐに消すことが出来れば肺への影響を最小限に出来ます。

禁煙と栄養摂取を実践し、薬や酸素を上手に使って病気でも元気に楽しく生活しましょう。