2014年10月6日

きみとぼくは兄弟
-ブラザーイオン-


兄弟(姉妹)は似たところもあれば違うところもあり、仲が良いかと思えば張り合ったりして独特の関係ですね。栄養素の世界にも兄弟のようなペアがあります。例えば、カルシウムとマグネシウム、ナトリウムとカリウム、亜鉛と銅などです。

今回はカルシウムとマグネシウムを取り上げます。カルシウムもマグネシウムも水溶液中ではイオンの形で存在しています。この二種類のイオンには大きな特徴があって、細胞内と細胞外では濃度が全く違うのです。


どうです? 全く反対でしょう? お互いがお互いを牽制・調節しあって均衡を保っています。実際にカルシウムが通るチャネルにはマグネシウムが存在していて、カルシウムの通り方を見張っています。

次の章で説明するように、カルシウムの濃度変化は細胞に信号を伝えるために使われており細胞内外の濃度を厳密に保つことは大変重要です。血液中の濃度が下がるとカルシウムは骨から、マグネシウムは骨や筋肉から動員されてすぐに理想的な濃度にもどります。でも、カルシウムやマグネシウムの排泄が増えるような状況が続くと濃度の低下が続き調節に乱れが生じます。血糖値の上昇やストレスはこれらのミネラルの尿中排泄を増やす大きな要因です。


カルシウムの欠乏は血液検査や骨の強度などで測りやすいためこれまでも強調されてきましたが、ここで忘れていけないのはマグネシウムです。乳製品の消費の伸びに比べ魚介類、小魚、海藻類やにがりによるマグネシウム摂取は減っています。日本のCaMg摂取比率は1978年には約1.0でしたが、2004年には2.1になってしまいました。

マグネシウム不足は、不整脈や狭心症・心筋梗塞、脳の血管攣縮、こむらがえりや神経症状、ミトコンドリアの機能低下など様々な症状に関係しています。

やはり兄弟は平等に扱うことが大切ですね。