2014年12月20日

初歩から学ぶ体の仕組み
-脂溶性ビタミンの貯蔵・運搬・利用-


ビタミンAを例にとって、脂溶性ビタミンの安全性がどのように確保されているのかを、貯蔵・運搬・利用の観点から考えてみようと思います。自然界に存在する天然ビタミンA(レチノールやレチニルエステル、βカロチンなど)であることが前提です。

吸収の時には、油脂と一緒に吸収されます。脂抜きの食事を続けると脂溶性ビタミンの吸収も減ってしまいます。また胆嚢の手術などで胆汁が出にくい方には注意が必要です。

脂溶性ビタミンは専用のたんぱく質に包まれて貯蔵庫に移動します。ビタミンAの貯蔵庫は肝臓にある星細胞(stellate cell)です。星細胞は貯蔵するだけでなく肝臓の再生を促進する役割を持っていて、ビタミンAが枯渇すると細胞の性質が変わり線維化を促進してしまいます。

脂溶性ビタミンは必要に応じて貯蔵庫から目的の場所に運搬されます。その際にも専用の運搬たんぱく質が運びます(鉄の時と同じですね)

目的の場所でもさらに安全弁が働きます。細胞内で必要なだけ活性型(遺伝子に作用するレチノイン酸)に変換され、核の中に入るとまたたんぱく質(レセプター)に結合してから遺伝子に働きかけます。不要になると速やかに非活性型に変換されます。生体はこれだけたくさんの調節・安全弁を駆使しているのですね。