2015年6月1日

機能低血糖症に関わるホルモン
ーカテコラミンとコルチゾール


 

 


血糖値を低下させるホルモンはインスリンだけですが、上昇させるホルモンはたくさんあります。また、ホルモン分泌に先だって、血糖上昇時には副交感神経が、血糖下降時には交感神経が刺激されます。機能性低血糖症による自律神経症状や精神症状は、これらのホルモンや自律神経の複雑な組み合わせで形成されます。そして症状の強さに影響するのは血糖の数値ではなく変動の速さです。

ホルモンの中ではカテコラミンに分類されるアドレナリン・ノルアドレナリンなどが最も早く発動します。


アドレナリン・・怒りや敵意、暴力などの攻撃的な感情
ノルアドレナリン・・恐怖、不安、自殺観念などの否定的な感情

交感神経の緊張とカテコラミンによる身体症状には、手足の冷え、浅い呼吸、動悸、眼の奥の痛み、筋肉の痙攣や震え、頭痛、発汗、目の前が暗くなったり光を眩しく感じたりする、などがあります。

低血糖時には、脳を守るため大脳皮質の活動が低下していますから理性による抑制力が弱くなっています。より情動的・刹那的な感情が表に出やすくなります。

繰り返し低血糖が起きるとホルモン産生器官である副腎が疲労し、さらに慢性的な低血糖症、アレルギーや原因不明の痛み、疲労感に発展します。副腎の疲労を推定する検査の一つに唾液コルチゾール日内変動という検査がありますので、以下で詳しく説明します。


参考:柏崎良子著『低血糖症と精神疾患治療の手引き』