2015年11月1日

ミネラルの働きと有害重金属蓄積


栄養療法では、腸内環境の改善や欠乏する栄養素の補充によって病気の根本原因を解決する方法をさぐってきました。食事の変更やサプリメントの摂取、腸内環境の改善に努めてきたのに治療効果が上がらないという方は、有害重金属蓄積を考慮する必要があるでしょう。

必須ミネラルは生命活動に重要な役割を果たしています。酵素の中に位置して反応を助けたり、鉄のように酸素を結合して運んだり、カルシウムのように骨に強度を与えたりしています。信号伝達や遺伝子の発現に関わるミネラルもあり、ごく微量でも重要な役割を担っているミネラルもあります。

ビタミンもミネラルも共に重要な栄養素ですが、ビタミンとミネラルには一つの大きな違いがあります。ビタミンは多すぎて困るということがほとんどないのに対し、ミネラルは一つのミネラルが過剰になると他のミネラルの働きを妨げることがあり、相互のバランスがとても重要だという点です。例えば、亜鉛の過剰は銅を阻害し、カルシウムがマグネシウムに比べて過剰になると害になります。同様に有害ミネラル(重金属)も必須ミネラルの働きを妨げます。

水銀やカドミウムなどの有害ミネラルは亜鉛と性質がとても似ていて、体に入り込むと亜鉛の働きを阻害してしまいます。また体の組織と結びつくとなかなか外に排泄されません。他にも鉛やアルミニウム、ヒ素、ニッケルなどが体に蓄積すると様々な問題が起こることがわかっています。

どの程度の有害金属摂取が健康被害をもたらすのかについてはよくわかっていません。一人一人の感受性や排泄能力が異なり、必須ミネラルの欠乏状態によっても左右されるからです。有害ミネラルが過剰になると次のような問題を引き起こします。

¨  腸内環境を悪化させる

¨  エネルギー代謝を阻害する

¨  神経や肺・肝・腎への蓄積による直接的なダメージを持つ

有害重金属の蓄積量や排泄能力を検査する方法が少しずつ普及しています。一緒に学びながらよりよい解決方法を探していきましょう。