2020年11月1日

ミネラルと炎症

炎症の周りにはミネラルが活躍しています。ミネラルには最外殻の電子を与えたり奪ったりする性質のものがあります。酵素の活性中心にこのようなミネラルを置くことにより高エネルギーのラジカルや活性酸素を発生させて殺菌したり、役割を終えたラジカルを消去したりします。

 

例えば好中球には鉄を含んだミエロペルオキシダーゼという酵素があり次亜塩素酸を発生させ細胞内に貪食した細菌を殺菌します。鉄を含んだカタラーゼという酵素は、殺菌・炎症の場所で発生する過酸化水素水を水と酸素に分解して無害化する役割をしています。活性酸素の消去には亜鉛や銅、セレン、マンガンなどのミネラルも大活躍しています。これらのミネラルが不足すると炎症によって発生したラジカルや活性酸素を速やかに消すことが出来ず連鎖反応を起こして周囲の細胞や組織が傷ついてしまいます。

 

 ミネラルはバランスが重要です。カルシウムとマグネシウム、亜鉛と銅などペアで働くミネラルはどちらかが多過ぎても少なすぎてもいけません。マグネシウムはカルシウムを抑制するミネラルです。カルシウムに比べてマグネシウムが欠乏すると血圧が上昇したり神経細胞死が起きたりします。

 

 有害重金属はもっと厄介です。例えば亜鉛と似た性質を持つ水銀やカドミウムが亜鉛酵素にはまり込むと酵素は本来の働きを失ってしまいます。重金属は活性酸素の発生源にもなるので二重の意味で体の機能を低下させます。有害重金属は結合が強く無理やりはがして排泄させないといつまでも体内に蓄積し続けます。ミネラル摂取の効果が出ない場合には重金属蓄積の検査やキレーションによる排泄を検討しましょう。