2022年3月1日

睡眠をおびやかす夜間低血糖

  夜遅くまで勉強した時の夜食、仕事が遅くなった時の夕食に皆さんは何を食べていますか。夜に食べる食事によって眠りの質が変わることをご存知でしょうか。夜中に何度も目が覚めたり、長時間寝たはずなのに疲れがとれていなかったりする場合には夜間の低血糖も考える必要があります。


 寝ている間は副交感神経が優位になります。リラックスモードです。ところが、寝る前に炭水化物や糖質に偏った食事をすると、血糖値の上昇に伴ってインスリンがたくさん分泌され血糖値が必要以上に低下してしまいます。血糖値が下がり過ぎると体が緊急信号を発して交感神経を緊張させたり、夜には分泌されないはずのホルモンを分泌したりします。その結果、睡眠が分断されます。血糖値の急上昇急降下型の低血糖です。夜寝る前に炭水化物や糖質を食べないことにより予防できます。


朝起きられないタイプの睡眠障害の方に多く見られるのが、長時間空腹になると血糖値が維持出来ないタイプの低血糖です。このような方は、寝る直前にたんぱく質や脂質を含んだ軽食やアミノ酸を摂ってみるとよいでしょう。いずれの場合も糖質はNGです。


 血糖値を平らに保つ秘訣は筋肉に蓄えられたアミノ酸量を増やすこと、糖新生に必要な肝臓の働きを適切に保つこと、血糖調節に関わるビタミンB群や亜鉛、カルシウム、マグネシウムなどを補うことです。マグネシウムの摂取やマグネシウム入りのお風呂につかることは交感神経の緊張を鎮める効果もあります。


 自分の血糖値パターンを知りたい方は24時間グルコースモニタリングで確認できますのでぜひご検討ください。

光で睡眠コントロール

  よい睡眠って日々の活力をあげるだけでなく将来の病気の予防にも役立つってご存知でしたか。睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠があり、一回の睡眠あたりだいだい4から5サイクル繰り返しています。1サイクルの長さは加齢とともにすこし短くなり特にレム睡眠が短くなります。赤ちゃんがたくさん寝て、歳をとるにつれて眠れないと感じるのはそのためです。レム睡眠の時間に夢を見ることが多いので、最近あまり夢を見なくなったと感じている人はレム睡眠が減っているのかもしれません。


 睡眠には三つのホルモンが大きな関わりを持っています。メラトニン、コルチゾール、成長ホルモンです。コルチゾールは太陽、メラトニンは月と表現され、朝起きて活動するためのホルモンがコルチゾール、夜寝るためのホルモンがメラトニンです。この二つは互い違いに分泌されます。メラトニンには脳細胞の炎症や酸化を防いだり、血糖値スパイクを減らしたりする働きもあります。


 成長ホルモンは成長期に盛んに分泌されて成長を促すホルモンです。大人になってからも分泌され、筋肉の増強、細胞の新陳代謝などを盛んにします。成長ホルモンは10時から午前2時が分泌のゴールデンタイムで、睡眠の2サイクル目に特に盛んに分泌されるので、眠りが寸断されたり昼間に寝たりすると分泌量が減ってしまいます。寝不足の時に肌の調子が悪くなるのは成長ホルモン分泌がうまくいっていないためです。


 よい睡眠にはメラトニン分泌が欠かせませんが年齢とともに減ることが判明しています(図)。メラトニンは光によって消失するため、リズムを整えるためには朝には強烈な、出来れば全身に光を浴びること、夜は光を暗くすることが大切です。夜にスマホやパソコンのブルーライトが目に入るとメラトニンが消えてしまいますから昼夜逆転の原因になります。子どもが夜にネットやスマホをやめない場合、何かしらの理由があるので頭ごなしもダメなのですが、親子で朝の光を浴び、夜は出来るだけ早く寝ることをぜひ心がけていただきたいものです。

受験栄養外来やっています

 寒暖差が激しいので今年の桜は例年より早く咲く可能性が高いそうです。皆様の心にも春が早く訪れるとよいですね。今年の受験生は大雪や新型コロナウイルス感染など様々な出来事に翻弄され本当に大変でしたね。希望の学校に入れた方も残念ながら希望通りにならなかった方も、人生の大きな糧として次に進んで行って欲しいものです。


 と言いますのも、学歴や学習能力の意義が今後大きく変わっていく可能性があるからです。環境の激変、不安定な社会情勢、デジタルネイティブ社会にとって記憶や計算はあくまで脳を育てるための手段であり、創造力と想像力、適応力の価値がこれまで以上に高くなると思われます。ストレスに負けず生き延びる力、これは机の上の勉強だけでは身につきません。


 受験栄養外来は、ストレスに強い心と学習能力を育てるのはもちろんですが、受験期でも健全な心身の成長を損なわないように、検査と丁寧な説明で皆様を導くことに価値をおいています。これから受験期を迎える方だけでなく、学び直しや資格取得を希望し集中力や記録力の低下に悩む成人の方も歓迎です。詳しくはご来院いただいた時にお話ししたいと思いますがちょっとだけ披露しますね。

いかがですか?


 受験期と関係ないお子さんも歓迎です。コロナ禍でこどもの生活が窮屈になり、さらに大人のストレスが子供に向かったりして潜在的に心を病んでいるお子さんが増えているそうです。子どもは上手に言葉に出せません。最近元気がない、様子がおかしいと思ったらとりあえずご相談を。窓口は受験栄養外来でも心の相談でも構いません。私たちスタッフ一同心を込めてお迎えいたします。