2022年6月1日

更年期には早めの備えを

  自分の意思でコントロールすることが難しいもの、それがホルモンと自律神経です。特に女性は排卵と月経に伴う女性ホルモンの変化に左右されます。突然泣きたくなったり、イライラしたり、便秘になったり甘いものが食べたくなったりします。前向きでエネルギッシュな性格が突然変わったように感じたら更年期の始まりかもしれません。イライラや不安感、不眠が強くなるほか、身体的な変化としては動悸や血圧上昇、ホットフラッシュ、耳鳴りなどが起きる場合があります。


NHKが行った「更年期と仕事に関する調査2021」では仕事に支障が出ている人が高率にのぼっていることも明らかになりました。厚労省も平成4年度中に「更年期障害が女性の日常生活に与える影響に関する調査研究」を実施する考えを示しています。アンケートでは更年期かと思ってもなかなか病院には行かない実情が浮かび上がり、婦人科に受診してもホルモンが正常だから、閉経していないからという理由で何も治療がなされなかったという回答も多かったそうです。更年期症状は閉経前から始まります。漢方やサプリメントなどホルモン治療以外の選択肢も増えてきました。まずは更年期に理解の深い婦人科にご相談ください。


女性ホルモンの変化に伴う症状は工夫によってある程度軽くすることが出来ます。隠れた栄養欠乏を見つけて改善しましょう。特に潜在的な鉄の欠乏は気分や睡眠にも関係します。ヘム鉄を摂ることにより確実に改善出来るものですから早めに検査をして改善させておきましょう。過多月経の方は子宮筋腫になっている可能性が高いので必ず婦人科でチェックしてもらいましょう。ビタミンEはホルモンバランスを整えるために役立ちます。γリノレン酸(月見草オイル)もかなり昔から月経前症候群に使われてきました。個人差が大きいのが難点ですが効果がある方には劇的に効果がある印象です。


さて、更年期を迎えると大きく代謝が変わるのがコレステロールとミネラルバランスです。これまで女性ホルモンの材料になっていたコレステロールが不要になるため急に血液中のコレステロール値が上昇し、治療を促されてしまうことがあります。こちらは甘い物を控えて加工食品ではないたんぱく質と食物繊維をしっかり摂っていれば半年ぐらいしてちょうどよい数値になるので慌てる必要はありません。一方カルシウムやマグネシウムなどのミネラルバランスの乱れは大きな問題です。特にマグネシウムは不整脈や筋力低下、こむら返りやむずむず脚症候群、不安、抑うつ、無気力、食欲不振など様々な症状に関係しています。


ストレスや睡眠、運動など基本的な生活習慣も整えましょう。更年期症状は長年の不摂生の棚卸し。これから迎えるセカンドライフに飛躍するための準備ととらえて積極的に取り組んでください。