2011年1月10日

ビタミンCの話④
-ビタミンCと糖尿病-


今回は、ビタミンCと糖尿病の話をしたいと思います。

ビタミンC細胞内で働く最も重要な水溶性の抗酸化ビタミンです。血液中のビタミンCは速やかに各細胞に汲み上げられ、ビタミンC需要が高い細胞ほどビタミンC濃度は高くなっています。したがって、ビタミンCを摂りすぎても尿に出るだけだから無駄だという指摘は当てはまりません。「これ以上細胞が汲み上げられない」段階になって初めて過剰の可能性が出てきます。その場合は吸収されずに下痢になります。また血液中、尿中、消化管内でもビタミンCは効力を発揮しますから、余剰にしてあふれさせておくのがよいのです。

さて、糖尿病では血液中のぶどう糖濃度が高いため、たんぱく質とぶどう糖が結びついたアマドリ化合物が出来やすくなっています。(糖尿病の指標となるHbA1cやグリコアルブミンはそれぞれヘモグロビンとアルブミンのアマドリ化合物の割合を測っています)。アマドリ化合物がさらに反応して出来る糖化最終産物(AGE’s)は活性酸素やラジカルを発生しやすいので、糖尿病により血糖コントロールが悪い状態ではそもそも活性酸素の発生率が高くなっています(血糖値が200を超えると活性酸素の発生が急激に増えることが知られています)。消去されずに残った活性酸素は血管障害や組織障害の原因になります。血液中のビタミンCは、抗酸化作用を発揮した結果デヒドロアスコルビン酸という酸化型に変わります。抗酸化作用のある還元型に再生するには、いったん細胞内に入り化学反応を受ける必要があります。

ビタミンCが細胞内に入る時には、ぶどう糖と共通の糖輸送体を使います。高血糖=血液中のぶどう糖が多いことですから、同じ輸送体で競争すると高血糖の時にはビタミンCよりぶどう糖が優先的に運ばれ、ビタミンCは細胞内に入ることが出来ません。測定データによると正常人の血液中のデヒドロアスコルビン酸はほぼゼロなのに対し、糖尿病患者ではデヒドロアスコルビン酸比率がかなり高くなっていました。

細胞内に入ったデヒドロアスコルビン酸がビタミンCに再生(還元)されるためには、NADHNADPH、グルタチオンなどの還元剤と還元酵素が必要です。糖尿病は複合的な代謝異常ですからNADHNADPH、グルタチオンも圧倒的に不足しています。

糖尿病の人の感染症(化膿した傷や肺炎など)が治りにくいのは、白血球中のビタミンC濃度が低いことと関係があります。細胞内で活性酸素除去能力が低下する結果、活性酸素により遺伝子が傷つき悪性腫瘍の確率が高まります。血管合併症も活性酸素に関係しています。

血糖値をよい状態に保つことに加えビタミンCやたんぱく質、ビタミンB群、ミネラルをしっかり摂るとこれらの合併症や余病を防ぐことが出来、糖尿病であっても幸せに暮らすことが出来るのです。