2011年8月10日

食事療法の嘘?本当?
-脂質代謝①-


糖質制限食と脂質代謝の話をする約束でしたね。

その前に、脂質にもいろいろあるということを皆さんに理解していただく必要があります。

主にカロリー源になるのは中性脂肪(トリグリセライド)です。3本の脂肪鎖が結びついて出来ています。脂肪細胞に蓄えられている脂肪のほとんどは中性脂肪です。利用される時には脂肪鎖が切り離されてエネルギー源になります。脂質のカロリーといった場合は中性脂肪のことを指しています。

細胞膜を形作り、シグナル伝達や膜の機能を果たしているのはリン脂質です。2本の脂肪鎖の脚と水溶性の頭を持っています。脚と頭の種類によって性質や役割が変わります。
 

リン脂質の一部は合成できない必須脂肪酸です。リン脂質の特徴は大きく二つあります。一つは膜の流動性や興奮性などの性質を変えること、もう一つは切り出されて局所ホルモン物質に変わることです。プロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエンなどの名前で呼ばれていて、アレルギー反応、炎症反応、血栓形成や溶解にも関わっています。

コレステロールは上の二つとは全く違う形をしています。細胞膜に存在して膜の固さを調節したり、ホルモンの骨格になったりします。コレステロールは体の機能にとってなくてはならない物質です。通常食べた量では足りずに肝臓で合成しています。

このように脂質にはいろいろな種類があり働きも異なります。高脂血症と一口で言ってもその実態は様々ですから原因や実態に合わせて治療法を変える必要があります。

次回も引き続き脂質の話をしていきます。お楽しみに!