2012年7月1日

暮らしに役立つ栄養療法
糖質制限の普及
-更にその先を目指して-


糖質制限食が糖尿病治療の一つの選択肢として公式に認められました。糖尿病学会に否定され続けた年月を考えると隔世の感があります。当クリニックでも糖質制限食の指導を希望されて訪れる患者さんがかなりの勢いで増えています。

普及に伴って心配されることがいくつかあります。例えば「糖質制限食」という言葉が独り歩きして糖質以外なら何でも食べてよいというような誤った食事療法が広まると、よい結果が出なかった時に「糖質制限はだめだ」と評価されてしまうこと。糖質制限を行う際には最低限次のことにも注意しましょう。

 

 加工食品や揚げ物には糖質がたくさん含まれてい

  ます。摂りすぎに注意しましょう。

 野菜や果物には糖質の多いものもあります。特に

  ジュースは糖分の吸収が早いので注意しましょ

  う。

 動物性たんぱく質の割合を増やしましょう。植物

  性たんぱく質(大豆製品など)だけでは必要なア

  ミノ酸が摂れません。

 摂る油脂の種類に気を配りましょう。ω6系を減

  らしω3系を増やしましょう。

 面倒なカロリー計算は不要!でも太っている人は

  カロリー過多に注意!痩せている人はカロリー不

  足に注意しましょう。

 

もともとたくさん食べられない方、消化しにくい体質の方が糖質制限食を始めるとカロリー不足になりがちです。穀物が減った分のカロリーはたんぱく質や脂質でしっかり摂らないと体のたんぱく質が壊れてしまいます。これでは健康な体は作れませんね。

もともと食事療法は個別の事情や体質に合わせた調節が大切です。一律の指導に従うのではなく、結果を見てやり方を修正し自分に最も適した食事療法を身に付けて下さい。