2012年8月1日

病気はなぜ起こる?
-内臓脂肪はなぜ悪い?-


メタボリックシンドローム(通称メタボ)の日本語名は内臓脂肪症候群です。これまでは成人病とか生活習慣病と呼ばれていたものと基本的には同じです。以前は40歳を過ぎると高血圧や高脂血症、糖尿病が増えてくることから「成人の病気=成人病」と呼ばれていましたが発症がどんどん低年齢化し、食事や運動、睡眠などの生活習慣に関係が深いことから生活習慣病と呼ばれるようになりました。そして現在は「内臓脂肪が増えること」が根本原因であることがわかってきたために「内臓脂肪症候群」という名前に変わりました。

では、なぜ内臓脂肪が多いとこれらの病気になりやすいのでしょうか?これまで脂肪細胞はただの貯蔵庫と考えられていました。ところが研究が進むにつれ脂肪細胞自体が活発に代謝を行い様々なホルモンや伝達物質を出していることがわかってきました。例えば TNF-αという物質はインスリンの効き目を悪くして糖尿病を悪化させます。PAI-1という物質は血栓が溶けるのを阻害します。アンジオテンシノーゲンは血圧の上昇に関わっています。脂肪細胞が肥大化すると健康に良い物質の分泌が減り、病気を促進する物質の分泌が増えてきます。脂肪細胞の出す物質は食欲や生殖能力、免疫力まで影響を与えます。

 


やせていても内臓脂肪が肥大している人がいます。というのも脂肪細胞が肥大する原因は血糖値の上昇と過剰なインスリンの分泌だからです。インスリンは糖を脂肪にかえて脂肪細胞を太らせます。肥大した内臓脂肪はインスリンの効き目を悪くするのでますますインスリンが大量に分泌される悪循環になります。脂肪細胞の数は成長期に決まると言われ一度増えると減りません。子どもの肥満はより深刻です。

正しい生活習慣により病気の根本原因となる内臓脂肪を減らしていきましょう。