2012年9月1日

病気はなぜ起こる?
-ホルモンの病気①-

 「なんとなく元気がない、疲れやすい、寒がりになった、体重が増えた、脚が腫れぼったい、便秘がひどい、記憶力や集中力がなくなった」こんな症状に覚えはありませんか?
ホルモンの病気の症状は漠然としていたり、ゆっくりと発症したりすることもあり、なかなか本人も周囲の人も気づかないことがあります。
ホルモンが低下している場合は、ホルモンを補うと様々な症状が改善するので「診断する」ことはとても大切です。研修医時代に内分泌(ホルモン)専門の先生が「電車でホルモンの病気らしい人を見かけると声をかけて治してあげたくなる」と言っていたのを思い出します。
ホルモンは「体の機能を調節するために情報を伝達する物質」です。甲状腺ホルモンは主に全身のエネルギー代謝を調節しているので不足により疲労感や寒がりなどの症状が出ます。生命維持に重要なホルモンは出来るだけ一定に保たれるようにコントロールされています。
 脳にある視床下部から出るTRHという物質は脳のすぐ下にある下垂体のTSHというホルモンを増やし、TSHは甲状腺ホルモン分泌を刺激します。甲状腺ホルモンが減ると視床下部や下垂体に「不足」という情報が与えられTRHTSHが増えて甲状腺ホルモンがちょうどよい量まで増えます。ホルモンが過剰の時はTRHTSHが抑えられて甲状腺ホルモンの分泌が減ります。フィードバック機構という調節方法です。



甲状腺に対する自己抗体が出来たり炎症が起こって細胞が壊れたりするとフィードバック機構のコントロールから外れてホルモン過剰症や低下症が起こります。もしかしたら?と思ったらぜひご相談を!疑うことから診断が始まります。