2018年5月1日

ビタミンDについて

 
ビタミンDはちょっと不思議なビタミンです。食べ物から摂取するだけでなく、体内で合成することが出来るのです。合成には紫外線が必要です。摂取または合成したビタミンDは肝臓で25(OH)ビタミンD(一段階目の活性化)となり、貯蔵されるかビタミンD結合蛋白と結合して血液中を運ばれます。そして腎臓や作用する場所で1,25(OH)2ビタミンDというさらに活性の強い形に変わります(二段階目の活性化)。活性化を抑制したり活性の弱い形に変換したりすることにより、活性型のビタミンDが増え過ぎないようにして調節しています。

活性化されたビタミンDは細胞の核の中に入って核内受容体に結合します。この結合体は、遺伝子に直接働きかけて目的とするたんぱく質の合成を調節していきます。このような作用の仕方はビタミンA(レチノイン酸)、甲状腺ホルモン、性ホルモン、ステロイドホルモンと共通しています。それぞれが結合する核内受容体も構造が似通っていることから核内受容体スーパーファミリーと呼ばれています。

また、ビタミンAとビタミンDは相互に働きかけをすることもある為、ビタミンAとビタミンDを一緒に補うとさらに効果があがります。

ビタミンDというと骨に関する働きが有名ですが、骨に関係する働き以外にもたくさんの作用があることが分かってきました。例えば

細胞の増殖抑制・常細胞への分化誘導作用  ガンを予防する

小腸粘膜上皮細胞の成熟

細胞の接合部(タイトジャンクション)蛋白発現

抗菌ペプチドの発現調節

遺伝子レベルでのインスリン分泌刺激  糖尿病の改善

免疫力の強化・免疫バランスの調整  花粉症が軽減した人も! 

などです。


ビタミンDは脂溶性ビタミンですし、ホルモンと似ているというとたくさん摂って大丈夫なの?と不安な方もいるでしょう。でも心配は無用です。ホルモンのような働きをするからこそ二重三重に安全弁がかけられています。私たちが食品やサプリメントなどで摂取するのは「活性化されていない」ビタミンDです註2)。必要な時、必要な場所で、必要なだけ活性化されています。ビタミンDをたっぷり貯蔵して必要な時に使えるようにしましょう。25(OH)ビタミンD濃度検査はビタミンDの貯蔵や運搬の状態を推定するために有用な検査です。
註2)骨粗鬆症の治療などに使われるビタミンD製剤は活性化型ビタミンDを薬の形にしたものですので用法を守って服用してください。