2021年6月1日

パラダイムシフト

 

 パラダイムシフトとはこれまで常識とされてきたことがある時点で劇的に変化することをいいます。コロナ禍において私たちはいくつもの常識を改める必要性に迫られています。それは医療においても同じです。


 オーソモレキュラー栄養医学は体の力を高める根本治療です。ワクチン接種が進んできていますが、重症化しない、させないためには免疫を支える栄養素、炎症を早期に火消しする抗酸化・抗炎症の栄養素で下支えすることが重要です。加えて代謝を正していわゆる基礎疾患を減らしていくことも大切です。


 オーソモレキュラー栄養医学では、生体を動的な分子の統合体と捉えています。"機能の最小単位である分子molecule)”が正しい状態にある(ortho)ことを目指します。量子力学を生体に持ち込み生体の仕組みを解明したのがライナス・ポーリングです。1960年代以降彼の功績によってオーソモレキュラー栄養医学は飛躍的に進歩しました。遺伝子の変異によってたんぱく質のアミノ酸が置き換わり立体構造が変化して働きに支障が出ることや、酵素反応には親和性の違いが大きく影響すること、電子のやり取り、活性酸素が細胞膜や遺伝子を傷つけることによって起きる病気など、今ようやく一般に認知されるようになったことをすでに解明し発表しています。精神疾患に神経伝達物質、酵素反応や酸化が関わっていることを明らかにしていたのもオーソモレキュラー栄養医学です。


 本来は喝采を持って受け止められるはずの輝かしい発見が葬り去られた理由は、栄養素を治療に使ったことが一因でしょう。オーソモレキュラー栄養医学では、分子の材料は栄養素なのだから薬ではなく栄養素によって治すのが当然だと考えました。その量が当時の常識よりも多かったことや権威と呼ばれる人たちが’門外漢’として締め出そうとしたことにより、いつの間にか異端とされてしまいました。


 栄養素での治療は確かに効果を発揮するまでに時間がかかり、切れ味が鈍いと感じる方もいるでしょう。しかし本質的な治療であることは間違いありません。なぜなら体は栄養素の事をよく知っているからです。薬の切れ味と栄養素の根本治療とどちらの恩恵も受けることが出来る社会の実現には栄養医学と医学界が歩み寄ることが大切と考えます。


 ひめのともみクリニックは今年15周年を迎えます。パラダイムシフトにより恩恵を受けられる人が一人でも増えるようにこれからも活動していきます。