2021年9月1日

こどもが学校に行けなくなった時

 オフィスひめの通信が皆様のお手元に届くころには夏休みが終わって学校が再開していることでしょう。新型コロナウイルス感染症の流行が続いて落ち着かない日々が続き、こどもたちにとってもストレスの多い状況ですね。環境の変化でこどもたちの様子にも変化が出ています。


 こどもが学校に行けなくなると周囲の皆さんは動揺してしまって原因探しを始めることでしょう。親は学校に原因があるのでは?と疑い、学校の先生は家庭内に問題があるのでは?と疑い、朝の不調を訴えるので何か病気があるのでは?と病院に連れていきます。こどもを置いて仕事に出る不安とか出席日数の不安とか将来の不安とか、様々な不安に押しつぶされそうになることでしょう。


 でもそこで立ち止まって考えて欲しいのです。一番つらいのはこども自身です。なぜ行けないのか言語化することも難しい状態です。「学校に行かせよう」と必死になるとこどもは学校に行かない自分が責められているように感じます。そのような状態で病院に連れて行っても病院が「学校に行かせようとしている敵」になってしまいます。


 学校に行けないこどもは副腎疲労になっていると考えてみましょう。 


 こどもも副腎疲労になります。副腎疲労の原因は精神的なストレスとは限りません。環境の変化とか気候の変化とか生活習慣の乱れとか、時には楽しいと感じながら頑張っていることも頑張り過ぎれば副腎疲労の原因になります。副腎疲労では元気の基盤が揺らいでいるので、気を張る集団生活をするには疲れすぎています。朝起きられず立ちくらみがあり、時に気持ちの落ち込みが生じます。お腹が弱いことが多いので、腹痛や下痢・便秘も高頻度で起きます。


 副腎疲労は病気です。病気ですから療養が必要です。でも理由を理解してきちんと取り組めば治る病気です。こども自身が元気になりたいと願い取り組む気持ちになることが治療の第一歩です。回復のコツは、周囲がゆったりと笑顔で接すること、急がせないこと、本質を理解してもらうことにつきます。こどもにやらせるのではなく一緒に住む家族全員が取り組む姿勢を見せることが重要です。


 私たちは副腎疲労の状態を数値化したり検査で原因を突き止めたりする試みを行っています。見える化することにより、本人、保護者、学校が状態を共有することに役立ちますし、具体的な治療法とそれによる回復段階を知ることが出来ます。


 教育の手段は複数あり、後から追いつくことも出来ます。学校に行くか行かないかは些末な問題であると腹をくくることが出来れば治療は半分成功したも同然です。何より重要なことは治療に関わる全ての人が幸せであること一緒に歩みましょう。