2021年9月1日

こどもに多い副腎疲労の原因と治し方

 こどもも大人も副腎疲労の基本は同じですが、こどもの方が栄養欠乏と低血糖の影響が強く直接の原因になりやすいように思われます。


 もともと思春期は心が不安定になりやすく進学などによる環境の変化が起きやすい時期です。そこに成長や月経による栄養欠乏が重なると発症しやすくなります。栄養とはたんぱく質、ビタミン、ミネラルなどの必須栄養素と必須脂肪酸のことです。特に欠乏が目立ちやすいのは鉄です。思春期においては女性だけの問題ではありません。筋肉のミオグロビンは酸素を受け取るため鉄を必要とします。身長が伸びれば筋肉も血液も増えて鉄の需要が大きくなります。運動をされているお子さんではさらに汗で失われます。栄養素の欠乏は一般的な内科の検査では指摘されることはありません。起立性調節障害と言われたら、たんぱく質や鉄の欠乏を疑いましょう。


 低血糖も隠れた大きな要因です。朝食を食べない、夕食の時間が遅い、パンやおにぎり、ジャンクフードや飲み物などで済ますといったことはありませんか。しっかり食べさせているつもりでも塾に行っているお子さんはゆっくり摂る食事が一度もない場合もあります。低血糖になると睡眠の質が悪化して朝起きられず、起きられないため朝食を摂らずに学校に行くなどの悪循環になることもあります。低血糖は副腎に負担をかけます。低血糖のこどもは消化管粘膜が弱く腸内細菌バランスが乱れていることが多く、副腎疲労をさらに悪化させます。まずは低血糖に気づくことが重要です。


 腸内環境や消化管粘膜の改善、栄養摂取、ゆるやかに血糖を変動させる食事の摂り方を身につけると相互によい影響を及ぼしてらせん状に改善していきます。よい習慣こそ将来にわたる財産です。