2021年12月1日

マイオカインで健康増進!

 ステイホームやテレワークで、日常生活動作が少ない状態が定着していませんか。


今回は運動が脂肪燃焼や筋力増強だけでなく脳機能や精神状態、免疫力向上にまで影響を与えるというお話です。


 運動をすると筋肉が刺激されて筋肉細胞からマイオカインが分泌されます。このマイオカインは脂肪細胞に働きかけて脂肪を燃焼させたり、筋肉に糖を取り込んだり、インスリンが適正に分泌されるよう促したり、肝臓でアミノ酸から糖を作って送り出したりするのを促します。運動はカロリー消費を通して痩せるのではなく、運動自体が代謝を適正化します。激しい運動をたまにするよりも緩やかな運動を毎日少しずつ行ったほうが効果的です。


 さらに、マイオカインは脳の記憶力向上にも働くことが分かっています、例えばマイオカインのカテプシンBirisinは脳由来神経因子を増やし海馬の神経を再生させます。実際に3ヶ月の有酸素運動をしてもらって海馬の容量を測ったところ、容量が有意に増えたというデータが得られています。家にこもってじっとしていると気分が落ち込むという経験をしたことはありませんか。マイオカインは神経伝達物質代謝に影響して、うつの気分を改善する効果があることも発見されています。


 抗炎症に関するデータも増えてきました。慢性疾患の原因は慢性炎症であるという考え方はもはや常識です。適度な運動はIL-6IL-10をほどよく分泌し炎症を抑制します。そして炎症性サイトカインのTNF-Rの分泌を抑えます。少し古い実験ですが、人工的にエンドトキシンを入れて炎症を誘発し、運動をした群、しない群で比較したところ運動をした群ではIL-6IL-10などの炎症を抑制するサイトカイン分泌され、炎症性サイトカインTNF-Rの分泌が見事に抑えられていました。

 

 運動には免疫活性化の作用もあります。筋肉から出るサイトカインがT細胞やNK細胞などの分化や機能を促進するのです。筋肉の伸長が骨に与える刺激で骨髄中のリンパ球前駆細胞が増えて免疫の維持を行っているという報告も出ています。


 コロナ禍で家に閉じこもっていた方は今からでも遅くありません。日光を浴びてビタミンDを増やしながら、自分が最も楽しめる運動をしてみましょう。運動をしながら音楽やゲームをするとさらに脳細胞を活性化するそうです。楽しく健康寿命を延ばしましょう。