2023年5月1日

毒を排泄する力

 

地球上は有害化学物質や重金属にあふれています。ですが有害物質の被害をみんなが同じ様に受けるわけではありません。どこで違いが分かれるのでしょう。答えは排泄解毒能力の違いです。遺伝子の小さな個人差(SNPsなど)を検出する検査が比較的容易に行えるようになって、排泄の能力には大きな個人差があることが科学的にも裏付けられてきました。ある種の遺伝子差異(SNPs)は傑出した能力と関係すると同時に、排泄解毒能力の低下とも関係しています。その結果、腸内環境の悪化、栄養欠乏、有害物質の負荷が加わることによって脳の機能や発達に障害が出ることもあるのです。

 

解毒の多くは肝臓で行われ胆汁から腸内に排泄されます。有害物質は肝臓の中で一度活性の高い形になり他の物質と結合(抱合と言います)して水に溶けやすい形となって排泄されます。グルタチオン抱合、グルクロン酸抱合などが有名です。アルコールや添加物など解毒の必要なものが増えると解毒能力を超えてしまいます。また、肝臓に脂肪が溜まると脂質が酸化して炎症が起き、細胞が火消しに追われて解毒にまで手が回らなくなる場合もあります。

 

 肝臓から腸内への排泄経路でもある胆管がしっかりと開いていることや胆汁の分泌が活発であることも大切です。油脂の消化吸収が悪いと感じている方は胆汁の分泌が少ない可能性があり要注意です。便秘をすると有害物質が長く腸内にとどまり、再吸収されやすくなるので薬を使ってでも便秘を解消した方がよいでしょう。

 

 食物繊維を摂取し有用腸内細菌を増やすことは解毒にも効果的に働きます。また日々の生活において少しでも有害な金属や化学物質を入れないように気をつけることも大切です。そしてもっと大きな話としては地球全体の汚染を出来る限り減らしていくことも未来の子供たちを守るために大切なことだと思います。