2016年8月1日

オリゴスキャン ー有用ミネラルの測定


手のひらをスキャンするだけで、痛みなく体の中のミネラル(金属)を測定できるオリゴスキャンという方法があります(44号と50号にもオリゴスキャンの記載がありますのでご覧ください)。オリゴスキャンでは有害ミネラルだけでなく有用なミネラルも測定してくれます。また、脂肪や血管など組織中のミネラルを測定するため、血液検査で異常がわからなかったマグネシウム欠乏を検出できることがあります。図のように標準よりマグネシウムが低かったり、カルシウムがマグネシウムに比べて多かったりした場合にはマグネシウム欠乏を疑いましょう。

マグネシウムは吸収の悪いミネラルですから、少量ずつ辛抱強く摂取する必要があります。当院ではマグネシウムの点滴療法も実施しています。




 

見逃されているマグネシウム欠乏


栄養解析では、血液や尿の検査によって潜在的な欠乏を見つけます。ところがマグネシウム濃度は厳密に血中濃度が調整されているために欠乏が見逃されてしまいがちです。

マグネシウムは約60%が骨に、27%が筋肉に含まれ、細胞外液に存在する量は体内総量のわずか1%程度です。血液中のマグネシウム濃度は下がるとすぐに補充され2.32.4mg/dlぐらいとほぼ一定に保たれます。血液検査でマグネシウム濃度が下がっていたらかなり重症のマグネシウム欠乏です。

マグネシウムとビタミンB1は共通の場所で働くことが多く、マグネシウムが欠乏したままビタミンB1だけを補充するとマグネシウムの欠乏症状が重症化する

ことがあります。様々な重篤な症状がマグネシウム不足に関係しています

マグネシウムとカルシウムのバランスも大切です。カルシウムを意識して摂っている方は多いと思いますが、カルシウムばかり摂ってマグネシウムを摂らないとバランスが崩れて心臓病や脳梗塞時の障害のリスクが増えることが指摘されています。食事が欧米化して乳製品によるカルシウム摂取が増えたのに対し、にがりや魚介類の摂取は減っていてマグネシウムとカルシウムの摂取バランスがかなり崩れています。

マグネシウムはカルシウムと同じか、それ以上の量を摂ることを心がけましょう。


栄養療法実践講座1 ― 最初の効果を出す



栄養療法は時間がかかるというイメージをお持ちの方が多く、2か月3か月経って症状や数値に変化がない場合でも「そのうち効果が出るだろう」とそのままの方法を続けている方が少なくありません。

本当の栄養療法とは、最初の2週間ぐらいで何らかの変化を出すのが正しいやり方です。

栄養療法とは潜在的な欠乏を改善することによって、眠っている体の働きを呼び覚ますことです。眠りが深いほど、眠っている期間が長いほど、揺り起こすのに強い刺激が必要です。そろそろっと起こしても全くびくともしない場合、同じ方法を繰り返しても体は起きてくれません。

変化が全くなかった場合は、主治医と相談して次の方法を試しましょう。

 

ü 何か1種類でよいので、
サプリメントを思い切って増やす

ü 食事の方法を見直す

ü 吸収が出来ているか見直す

体に悪い食事をしているとわかっていてなかなか改善できない方も、食事の内容が症状に直結しているのであれば180度変えてみることをお勧めします。やってみれば出来てしまうことが多いです。

消化や吸収が悪く、たんぱく質やサプリメントを増やした結果、胃腸が不快になった場合は、一度立ち止まって胃腸を整えることから始めましょう。カンジダなどの悪玉菌が改善を邪魔している場合もありますので、主治医にご相談ください。

何らかのよい変化が見られた場合、そのまま23か月継続します。そこから先のことはその時に考えます。栄養療法の真価を知らずに時間が経ってしまうのはもったいないです。

栄養医学では様々な検査の数値などをもとに栄養欠乏を判定していますが、改善の評価は数値より症状を重視します。数値は改善のための手がかりに過ぎません。治したい症状も程度も人によって違います。道は一つではありません。ご自分にあったやり方で、ぜひ栄養療法の効果を体感してください。