2019年11月1日

AGEsをためないために


 老化や様々な病気の原因となるAGEsをためないためには何を心がければよいでしょうか


① 糖を摂らない ―― 炭水化物、ぶどう糖など血糖値を上げるものに注意

② 果物は丸ごと少量 ―― 果糖もAGEの原因に!
                          糖が少なくビタミンが多い物を丸ごと

③ ビタミンによりAGE化を防ぐ ― ビタミンB群やカテキン、
                                       アントシアニンなど

④ たんぱく食品の加熱に注意 ―― 高温で長時間の過熱はNG

⑤ 下処理でAGE量に変化が ―― 調理前の肉をレモンや酢でマリネしてから焼く

⑥ 加工食品を食べない ―― 加工肉にはAGEが多い・添加物も多いため控える

⑦ 喫煙・副流煙もAGEの原因に

 残念ながらAGEsは代謝されにくく年々蓄積していきますから早く気づいて早く対処することが重要です。特に糖尿病の患者さんや糖尿病でなくても血糖値が乱高下しやすい方や加工肉の摂取が多い方はAGEsが蓄積し血管障害や老化が進んでいることがあります。αリポ酸や抗酸化ビタミンを多く含む緑黄色野菜の摂取、キノコや海藻などの食物繊維の摂取、低糖質ダイエットなどにより今日からAGE蓄積予防を始めましょう。


糖化年齢を知ろう―AGE測定


 AGEsの蓄積量を推定するには血液の微量分析をする方法や皮膚に蓄積したAGEが発する蛍光を感知して測定する方法があります。当院では蛍光を使ったAGEリーダーによる測定を開始しました。測定は利き腕の前腕をリーダーの読み取り部にあてるだけ、20秒程度で終わります。測定された数値を年齢の平均値と比較し糖化年齢を割り出します。

※測定を正確にするために測定する前腕の皮膚には日焼け止めやオイルなどを塗らずにご来院ください。

糖化から始まる老化 
―終末糖化産物(AGEs)―


 アミノ酸やたんぱく質を含んだ液に糖を入れてコトコト加熱すると褐色に変わっていきます。アミノ酸と糖が結びつく反応でメイラード反応と呼ばれています。体の中でも同じような反応がゆっくりと進んでいます。血液中や細胞内外にはたくさんのたんぱく質が存在していますから糖の濃度が高まることによってたくさんの糖化産物が産生されます。糖化はさらに複雑な反応を経てカルボキシルメチルリジン、ペントシジン、クロスリン、ピロピリジンなど100種類以上の物質に変わります。有害で排泄や処理がされにくいことからAGEs(Advanced Glycation End Products=終末糖化産物)と呼ばれています。

 体はたんぱく質で構成されていますし、体の働きのほとんどをたんぱく質が担っています。このたんぱく質にAGEsが結合すると本来の働きが失われ、新陳代謝が滞ってしまいます。例えばコラーゲンにAGEsが結合すると正常ではない架橋が行われて弾力や強さが失われます。しかもAGEが結合したコラーゲンは新しいコラーゲンと入れ替わりにくくなり肌の老化や骨のもろさ、血管壁の硬化などにつながっていきます。

 生体にはAGEに反応するレセプター(RAGE)が存在し、AGEが結合すると炎症や不均衡な細胞増殖が起きます。その結果、例えば網膜では内皮細胞と外側の周皮細胞とのずれが生じていわゆる糖尿病性の網膜症が引き起こされます。血管の壁においてはプラークの形成や炎症をもたらしますし、認知症や大腸がん、すい臓がんなどのリスクを高めたりがんの転移を促進したりすることも知られています。

 AGEsの蓄積の主な原因は、高血糖による体内でのAGEの産生増加とAGEを多く含む食品の摂取です。糖尿病の指標となるHbA1cやグリコアルブミンは糖化したたんぱく質です。つまりHbA1cやグリコアルブミンが高い人は糖化の頻度が高くAGEsの産生も多いことになります。AGEの産生には活性酸素の発生などもからんできますので同じHbA1c値やグリコアルブミン値でも血糖スパイクが多く抗酸化物質の摂取が少ない人ほどAGEsの蓄積が増える傾向があります。

 AGEsを多く含む食品の代表例はポテトチップスやフライドポテト、ソーセージなどです。また肉や魚を長時間高温で加熱するとAGEsが増えてしまいます。新鮮なものをそのまま食べたり、蒸したりゆでたりがお勧めです。

 今からでも遅くありません。自分の糖化年齢註)を知り、健康寿命を少しでも延ばしていきましょう。

 註)糖化年齢…AGEs蓄積量を各年齢の平均値と比較したもの

2019年7月1日

フレイルリスクをチェックしよう


 フレイルチェックには簡易版から詳細な問診票まで様々あります。まずは次のフレイルイレブンチェックで自分のフレイルリスクをチェックしてみましょう
 フレイル・イレブンチェック註1)


右側に一つでも〇がついたら要注意です。早め早めの予防を心掛けましょう。
註1)参考サイト https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/shindan.html 

オーラルフレイルを予防しよう


 身体的なフレイルのうち、オーラルフレイル(=口腔内に関するフレイル)は特に問題です。歯を失うこと、歯周病、嚥下機能の低下、口腔内常在菌叢の悪化などを指します。口から食べることには「食べる幸福感・美味しさ」もさることながら医学的にも意味があります。

    一日何回も唾液が出る→口腔内の衛生が保たれる

    味覚・嗅覚・口に入ったという刺激→脳や消化管に信号が送られる

    食べ物によって腸内細菌や消化管粘膜が育つ

    点滴では入れられない大切な栄養成分がある

    免疫・防御機構の最前線

オーラルフレイルの悪化は栄養欠乏や誤嚥性肺炎などを引き起こし、命にかかわる危機を招くことがあります。誤嚥性肺炎や手術後に禁食期間が長くなるとオーラルフレイルが進むので早期から口腔内のケアや適切な嚥下リハビリを行って出来る限り口から食べられるようにすることが大切です。医療機関や施設においてオーラルフレイル回復の体制が早く整って欲しいと思います。脚の筋肉が衰えたら舌や嚥下の筋肉も衰えています。私たちもよく噛んでよい栄養を摂り、口腔内のケアをし、歯科医ともっと仲良くしましょう。オーラルフレイルに早く気づき対策を取ることにより「最期まで口から食べる」を実現したいものです。