胃の調子が悪い時、皆さんはどのような胃薬を飲んでいますか。「胃酸の分泌が少ない方が胃酸を抑える薬を長期間にわたって飲んでいる」というのは、実際によくある笑えない話です。胃酸が出ているかを見極める簡便な方法はペプシノーゲンセットという血液検査です。ペプシノーゲンⅠは胃酸と胃の消化酵素の分泌を、ペプシノーゲンⅡは胃粘膜の萎縮の程度をあらわします。ペプシノーゲンⅠが低い方は胃酸を出す能力が低いことを意味します。胃粘膜の萎縮が進むとペプシノーゲンⅡが上昇します。
この検査は、プロトンポンプ阻害薬(PPI)を服用している場合にはどちらも高値になります。正しい数値を知るためには薬剤を中止して一定程度時間が経ってから検査してください。喫煙者はペプシノーゲンⅠが上昇しやすく、飲酒者ではペプシノーゲンⅡが低くなりやすいので注意が必要です。
低酸の状態が長く続くと栄養欠乏につながります。胃の消化酵素ペプシンは胃酸によって酵素活性のある形に変わるため、低酸はたんぱく質の消化不良につながります。鉄やカルシウムも胃酸が少ないと吸収率が低くなります。低酸の方は胃酸を抑える薬ではなく消化酵素の方が役立つかもしれません。
ストレスはヒスタミンの生合成を促進し胃酸の分泌を促進させます。副腎皮質ホルモンの過剰分泌も胃酸分泌促進と胃粘液分泌の低下を招きます。やはりストレスの軽減はとても大切ですね。胃の働きをよくするため、食事の時はリラックスしていただきましょう。胸やけの症状が強い場合には、内臓脂肪増加による腹圧の上昇、食べてから寝るまでの時間が短いこと、お酒の飲みすぎ、炭水化物に偏った食事、不規則な食事時間などが原因になっている場合が多いので、まずは生活習慣を見直しましょう。