胆汁に含まれる胆汁酸は、脂肪を乳化させて吸収を助けたり、胃酸で酸性になった食べ物を十二指腸において中和したり、薬品や毒素、金属などの排泄を助けたりとよい働きがたくさんあります。胆汁酸はコレステロールから合成されるので、余分なコレステロールを排泄するのにも役立ちます。
このように本来よい働きを持っている胆汁酸ですが、有害な物質に変わってしまうことがあります。
肝臓で合成された胆汁酸を一次胆汁酸と言います。80%がコール酸、数%がケノデオキシコール酸です。(正確にはコール酸はさらにタウリンやグリシンと結合して排泄されやすい形になっています)。胆汁に含まれて腸管内に排出された胆汁酸の約95%は再吸収され肝臓に戻ります。
ところが、ある種の腸内細菌は特殊な酵素を持っていて胆汁酸を変えてしまいます。細菌による変化を受けた胆汁酸を二次胆汁酸といいます。7α-脱水酸化して出来るのがデオキシコール酸、7,12α-脱水酸化によって出来るのがリトコール酸です。とりわけリトコール酸は肝臓に対する毒性が強く、また大腸の発がんにも関係しているとされています。(下図は二次胆汁酸が肝臓の炎症性サイトカインの分泌を増やし肝がんを促進する模式図)