2013年12月14日

暮らしに役立つ栄養療法
-良い胆汁酸と悪い胆汁酸-


胆汁に含まれる胆汁酸は、脂肪を乳化させて吸収を助けたり、胃酸で酸性になった食べ物を十二指腸において中和したり、薬品や毒素、金属などの排泄を助けたりとよい働きがたくさんあります。胆汁酸はコレステロールから合成されるので、余分なコレステロールを排泄するのにも役立ちます。

このように本来よい働きを持っている胆汁酸ですが、有害な物質に変わってしまうことがあります。

肝臓で合成された胆汁酸を一次胆汁酸と言います。80%がコール酸、数%がケノデオキシコール酸です。(正確にはコール酸はさらにタウリンやグリシンと結合して排泄されやすい形になっています)。胆汁に含まれて腸管内に排出された胆汁酸の約95%再吸収され肝臓に戻ります。

ところが、ある種の腸内細菌は特殊な酵素を持っていて胆汁酸を変えてしまいます。細菌による変化を受けた胆汁酸を二次胆汁酸といいます。7α-脱水酸化して出来るのがデオキシコール酸、7,12α-脱水酸化によって出来るのがリトコール酸です。とりわけリトコール酸は肝臓に対する毒性が強く、また大腸の発がんにも関係しているとされています。(下図は二次胆汁酸が肝臓の炎症性サイトカインの分泌を増やし肝がんを促進する模式図)

 


二次胆汁酸の割合は腸内細菌の種類や腸内滞留時間、食物繊維との結合などにより左右されます。疫学的な調査で脂肪の多い食事、肉や乳製品の多い食事では大腸がんが増えるという報告があります。脂肪を摂ると胆汁酸の分泌は確かに増えますが、病気の原因はおそらく胆汁酸そのものではなく二次胆汁酸でしょう。二次胆汁酸は腸内環境の悪化と悪玉腸内細菌増加によって増えます。肉や乳製品を摂っても腸内細菌バランスがよければ二次胆汁酸は増えません。

肉を摂りすぎて心配な方は、ぜひ腸内細菌バランスを整えるようにしましょう。