2019年7月1日

フレイルリスクをチェックしよう


 フレイルチェックには簡易版から詳細な問診票まで様々あります。まずは次のフレイルイレブンチェックで自分のフレイルリスクをチェックしてみましょう
 フレイル・イレブンチェック註1)


右側に一つでも〇がついたら要注意です。早め早めの予防を心掛けましょう。
註1)参考サイト https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/shindan.html 

オーラルフレイルを予防しよう


 身体的なフレイルのうち、オーラルフレイル(=口腔内に関するフレイル)は特に問題です。歯を失うこと、歯周病、嚥下機能の低下、口腔内常在菌叢の悪化などを指します。口から食べることには「食べる幸福感・美味しさ」もさることながら医学的にも意味があります。

    一日何回も唾液が出る→口腔内の衛生が保たれる

    味覚・嗅覚・口に入ったという刺激→脳や消化管に信号が送られる

    食べ物によって腸内細菌や消化管粘膜が育つ

    点滴では入れられない大切な栄養成分がある

    免疫・防御機構の最前線

オーラルフレイルの悪化は栄養欠乏や誤嚥性肺炎などを引き起こし、命にかかわる危機を招くことがあります。誤嚥性肺炎や手術後に禁食期間が長くなるとオーラルフレイルが進むので早期から口腔内のケアや適切な嚥下リハビリを行って出来る限り口から食べられるようにすることが大切です。医療機関や施設においてオーラルフレイル回復の体制が早く整って欲しいと思います。脚の筋肉が衰えたら舌や嚥下の筋肉も衰えています。私たちもよく噛んでよい栄養を摂り、口腔内のケアをし、歯科医ともっと仲良くしましょう。オーラルフレイルに早く気づき対策を取ることにより「最期まで口から食べる」を実現したいものです。

健康寿命元年を目指して
 ―フレイルの意味とそのこころ―



 新元号が始まりました。元号か変われば何かが新しくなるというものでもありませんがあとから振り返って健康寿命を延ばす元年だったなと思えるようになって欲しいです。

 

 近年、医療や介護の分野ではフレイルという言葉を盛んに使うようになりました。フレイルとはFrailtyフレイルティ=虚弱・脆弱という意味)」のことです。馴染みのない言葉と思われるかもしれませんが、身近に誰でも経験することです。ある程度歳をとると今は大丈夫でもちょっとしたこと―風邪をこじらせた時、転倒して骨折した時、手術で入院が必要なった時などで寝たきりになったり以前のように日常生活を送れなくなったりすることがありますよね。そうなりやすい状態がフレイルです。「ああ、なるほど」と思われた方も多いのではないでしょうか。

 

フレイルでは身体的なリスクだけでなく精神的、社会的なリスクも挙げています。

 

 身体的フレイル・・・筋力低下、運動機能の低下など

 精神的フレイル・・・うつや物忘れ、軽度の認知障害、意欲の低下

 社会的フレイル・・・外出の回数が減る、閉じこもり、孤食などの社会からの孤立

 

フレイルが悪化する状況を想像してみましょう。以前は社交的だったのに脚が痛いことをきっかけに外出が出来なくなり、買い物や趣味もままならないことで気分が落ち込み、そのうちに物忘れがひどくなったとか、仕事一本で地域に知り合いがいない人が退職を機に人に会う機会が減り、そこへ配偶者に先立たれて日々の会話もなくなり食事も簡単なものになって・・・とか。このようにつのフレイルは密接に関係していて悪化に傾き始めるとさらなる悪循環を招く傾向があります。フレイルは歳をとったら必ずなるというものではありません。つぼを押さえて工夫すれば予防や回復が可能です。

 

²  アミノ酸・ビタミン・ミネラルなどの必須栄養素を摂る

²  適度な運動や筋力トレーニング

²  楽しいこと・新しいことに取り組む・社会貢献を続ける

 

特に栄養は大切です。筋肉を増やすにも脳を活性化するにも材料となる栄養素は欠かせません。脂質やカロリーを制限しすぎるのも禁物です。良質の脂質は脳や細胞の材料にもなりますし、カロリー不足により筋肉や体のたんぱく質が壊れてしまうこともあるからです。栄養が整うと運動や外出の意欲もわいてきます。そうすれば趣味や社会的な活動も出来るようになりフレイル予防の好循環が生まれます。親しい間柄こそ加齢による変化を指摘しにくい場合もあります。「フレイルって言葉があるのよ」と声かけの機会にしてみてはいかがでしょうか。