ある患者さんで血液検査の結果が急に変わったことがあります。「何かありましたか?」と尋ねると、「歯の治療に通っていて、うまく噛めずにうどんばかり食べていました」とのお返事です。歯のこと、口腔内のことは、こちらから尋ねない限りお話されないことが多いようです。何となく話しにくかったり見られたくないとは思いますが、口腔内と体は切っても切れない関係があるのです。
歯周病の菌が血液に入ると、心臓の弁に付着して塊をつくって心臓の働きに異常を来したり、血管を詰まらせたりすることは昔からよく知られています。また歯周病菌や歯周炎によってTNF-αというサイトカインが増えインスリンの効き目を悪くすることにより、内臓脂肪の蓄積や糖尿病の原因になります。炎症の場所には常に活性酸素が発生しているため動脈硬化も進みます。歯周病を放置すると多くの恐ろしい病気に結びつくのです。