私たちが多くの人に推奨している食事療法に糖質制限食があります。まだまだ批判の多い糖質制限食ですが、推奨するにはきちんとした根拠があります。今回は糖質制限食の利点について説明してみましょう。
健康を達成出来る食事療法は次の条件を満たしているはずです。
①
体が必要としている栄養素を十分摂れること
②
代謝に害になる食べ方をしないこと
糖質制限食と①の関係を見てみましょう。日本の食糧事情では体の事情で食べられない人を除けばカロリーは足りています。カロリーを担うのは炭水化物・糖質・脂質、そして一部たんぱく質です。カロリーで計算できないものに必須栄養素があります。必須栄養素とはたんぱく質、ビタミン、ミネラルといった体を動かすための栄養素です。カロリー計算で食事量を減らすと必須栄養素がかなり減ります。
糖質制限食はカロリーの多くを占める炭水化物を減らす代わりに必須栄養素を含む食材を豊富に食べるので栄養的にはかなり充実します。
②については、食後の血糖値の急上昇が代謝に悪影響を及ぼすことが明らかになって来ています。インスリンの過剰な分泌により内臓脂肪を増やすこと、活性酸素を増やして動脈硬化を起こすこと、自律神経のバランスを乱すこと、カルシウムやマグネシウム、カリウムなどの尿中排泄を増やすことなどなど数え上げればきりがありません。糖質制限食では食後の高血糖を防ぐことが出来ます。
糖質制限食による脂質の摂りすぎや、コレステロールの上昇を心配する方もいるようです。実際に糖質制限食が脂質代謝にどのように影響するかについて次回説明することにしましょう。