2012年3月10日

亜鉛の話②
-亜鉛は何をしているか?-


亜鉛は全身すべての細胞に存在します。鉄は小腸や肝臓・脾臓(ひぞう)、カルシウムなら骨、マグネシウムは筋肉と貯蔵の場所がはっきりしているのに対し、亜鉛は貯蔵庫を持ちません。

ただし分裂の盛んな組織には高濃度に存在します。

遺伝子を調節するたんぱく質のいくつかはZinc fingerという構造を持っています。

 


Zinc fingerは亜鉛を中心にしてたんぱく質がループのような構造をとっています。亜鉛が欠乏すると分裂の盛んな組織ほど影響が強く出ます。

例えば、皮膚や粘膜、精巣や前立腺などです。前立腺肥大や男性更年期を疑って受診された方にも亜鉛欠乏が多く見つかります。

()(らい)も入れ替わりの激しい細胞です。亜鉛欠乏で味覚が変わるのは有名な話ですよね。

細胞分裂とは別に、亜鉛は血糖調節にも重要な働きをしています。血糖値を下げるインスリンの合成と分泌に必要です。血糖調節異常(機能性低血糖症)や糖尿病の人には亜鉛欠乏が認められることが多いようです。特に男性で境界型糖尿病と言われたら亜鉛欠乏を疑いましょう。

冬の季節には牡蠣鍋なんかがいいですね。亜鉛は魚介類、煮干し、ゴマなどに含まれていますが一度にたくさん摂るのは大変です。毎日の生活に上手にとり入れましょう。