2013年2月1日

暮らしに役立つ栄養療法
-遅延型食物アレルギーとLGS(腸管壁浸漏症候群)③-



遅延型食物アレルギーとLGSシリーズもいよいよ最終段階に入ってきました。腸の消化吸収機構、バリア機構、腸内細菌の改善が大切であることがお分かりいただけたと思います。今回は具体的な方法について考えましょう。自分に合ったものを選びいくつかの方法を組み合わせることが大切です。

    腸粘膜やバリア機構を改善する栄養素をしっかり摂ること

    腸内細菌叢を改善すること

    カンジダを減らす効果のある物質を摂取し、増やす効果のある食品を減らすこと

    アレルギー反応のある食品の摂取をしばらくの間やめること

腸粘膜細胞は入れ替わりの激しい組織なので、短期間の栄養欠乏でも影響を強く受けます。特にたんぱく質不足の影響は深刻です。というのも腸の粘膜はグルタミン(アミノ酸の1種)を栄養源として使っているからです。グルタミンは腸粘膜とリンパ球の栄養源です。余談ですがスポーツ選手は激しい合宿やトレーニングによってグルタミンを消費する(筋肉に取り込んでしまう)ので、大会前に下痢をしたり風邪をひくのを予防したければ グルタミンをたっぷり摂るとよいでしょう。

IgA抗体産生、ムチン分泌、腸管免疫などにはビタミンAが重要です。細胞分裂のための亜鉛、エネルギー産生のためのビタミンB群など他にも大切な栄養素がたくさんあります。

腸内細菌叢の改善には、善玉菌(アシドフィルス菌やビフィズス菌)と善玉菌を定着させ増やす物質(食物繊維やオリゴ糖)を摂取します。せっかく善玉菌を摂っても定着しなければ短期間で減ってしまうため善玉菌の好む環境を整えることが重要です。カンジダは糖分が大好きなので糖分や精製炭水化物の摂取は出来る限り減らしましょう。カフェインやイーストを含んだ食品、アルコールや人工甘味料も減らしましょう。

カンジダを減らす薬やサプリメントもありますが、カンジダは常在菌なのでやめるとまた増殖してしまいなかなか根本治療には成りません。カンジダが急に増えた際などに上手に利用し良い菌の割合を増やす治療を併用することが大切です。

食物に強いアレルギー反応が出た場合数か月は摂取するのをやめてみましょう。弱いアレルギー反応の場合には食べる回数を減らすだけで効果があります。ストップ・アンド・トライという方法ではアレルギーを疑った食品を10日間完全に断ち、その後摂取した後にどのような反応が起こるかを観察します。直後から起こる反応もあれば数日後に起こるものもありますが、一度良くなった症状が食品摂取後にまた起こった時にはアレルギー原因物質の確率がかなり高いということになります。

治療のゴールは健全な腸を取り戻すこと!腸から全身症状を改善していきましょう。