2023年2月1日

血管年齢を若くする

血管はすべての臓器の細胞に酸素と栄養素を送ります。心臓、肝臓、腎臓などそれぞれの臓器には特有の老化の要因がありますが、そもそも血管が若く健全でないとすべての臓器が働けなくなってしまいます。小さな脳梗塞が積み重なれば脳細胞の機能が衰えて認知症のリスクも増大します。冠動脈が狭くなれば心臓の働きが弱くなり突然死のリスクが高まります。脚にいく血管が狭いと歩くことに支障が出て社会活動が減り、幸せに暮らせなくなってしまいます。


大きな血管では、プラークによる内腔の狭まりが問題になります。軟らかいプラークではそこから血栓が飛んだり爆発的な血栓が形成されたりして閉塞が起きるリスクがあります。プラークと言うと高コレステロールを思い浮かべる方も多いでしょう。でもコレステロールが正常でもプラークが出来る人がいるし、コレステロールが高くてもプラークが出来ない人もいます。プラークの最初のきっかけは血管の傷だからです。血管の内側では絶えず血管を脅かす出来事が起きています。血圧の上昇、血糖値スパイク、真菌・細菌やウイルス、毒素、喫煙、緊張など。特に食後の血糖値スパイクは日常的に血管を痛めます。健全な血管内皮であればそれらの衝撃をはねのけて血管を守ることが出来ますが、回数や程度がひどくなると衝撃を吸収したり修復したり出来なくなり血管の内側に傷が出来ます。傷を修復する過程でコレステロール(リポ蛋白(a)など)の修復分子が増産され沈積して動脈壁を仮修復します。これがプラークの正体です。


 血管を守るためには糖化・酸化・炎症を防ぐことが大切です。具体的には糖や質の悪い脂質を食べ過ぎないこと、喫煙をやめること、歯周病を治すこと、運動をして睡眠をしっかりとること、血圧を改善することです。単なる肥満なのか、内臓脂肪や肝臓の細胞の炎症を伴うメタボリックシンドロームなのかの見極めがとても大切です。検診で脂肪肝や高脂血症と診断されたら、薬で数値だけを下げようとせず、背景に隠れている糖化、酸化、炎症を改善しましょう。


 隠れ栄養不足も動脈硬化の要因になるという話を付け加えておきましょう。Hans W. Dielさんは健康的な生活をし、検診結果も完璧でした。ところがある日突然心筋梗塞を起こしてしまいます。薬を処方されましたが5年後再度の発作が起きます。必死に改善方法を調べ「ビタミンCや微量元素の不足によって動脈壁が弱く不安定になり、その結果修復分子としてのリポ蛋白(a)が高くなっている」という仮説を知りました。それからは自分に必要な量の栄養素摂取に励みリポ蛋白(a)が低下、心身ともに健康な状態が得られたそうです註1

 

 悪い物を体に入れない、良い栄養素を摂る

 

 健康で幸せな未来は与えられるものではなく自分でつかみ取るものです。私達は今年も皆様の健康のお手伝いをしていきます。

  註1「オーソモレキュラー栄養医学ニュースより抜粋」