副腎は腎臓の上についているホルモンを産生する臓器です。生命維持に欠かせないホルモンが分泌され特にストレス時には分泌が盛んになります。ストレスが続くと副腎が疲弊してホルモンの分泌予備力が低下し耐えきれずに症状を起こします。
副腎の疲弊による症状を副腎疲労症候群と呼びます。典型的な症状には、とにかく疲れやすい、話をするのも億劫、血圧が下がりやすい、月経前にイライラしやすい,元気を出すために毎日甘いものを食べるなどがあります。一般にはストレスが多く不規則な生活をしている人に多いのですが、親しい人と死別したり仕事上大きな緊張が続いたりとストレス状態を乗り越えた後に発症する人もいます。またそれほど不摂生をしていないのに若い時から症状が強い方もいます。
症状を軽減しようと甘いものやコーヒーなどの刺激剤でその場しのぎをするとさらに悪化し無理を重ねれば重ねるほど回復までの道のりが長くなります。強いストレス、いいかげんな食事、不規則な睡眠のリズムも悪化要因になります。
副腎疲労症候群は一般的な検査では見つかりにくく、血液中のホルモン濃度測定では見逃されることが多いので、副腎疲労を見つけるための検査をする必要があります。
私たちのクリニックでは
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唾液コルチゾール(副腎皮質ホルモン)の日内変動
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血液中のDHEA-S
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血糖の変動(5時間糖負荷試験など)
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副腎のホルモンの材料となる栄養の評価
を行っています。
例えば唾液コルチゾールは朝高く昼から夜にかけて下がっていくのが理想的なパターンです。図の患者さんは朝の分泌が低く朝起きられず夜遅くまで仕事をして睡眠の質も悪い状態でした。