2013年4月6日

病気はなぜ起こる?
-肺の炎症と病気 ①-


花粉症の季節の到来です。今年は花粉だけでなく大気汚染物質も飛来する可能性が高くアレルギー性の鼻炎・気管支炎・気管支喘息、心臓病などの危険性が高まると心配されています。ニュースでよく取り上げられるPM2.5とは直径が2.5㎛未満の、空気に含まれる微小粒子のことです。

測定技術が未熟な時代には小さな粒子濃度を正確に測定することが難しくPM10(粒子径10未満)を測定していましたが、小さな粒子はより肺の奥まで入り込み病気を深刻にするため現在の日本では粒子径の小さいPM2.5を大気汚染基準にしています。

 


PM2.5はどのようにして疾患を起こすのでしょうか?まず小さな粒子が気道を通って細い気管支や肺の奥(肺胞)に沈着します。沈着した粒子は体にとって異物なので炎症反応を起こします。炎症の場所では白血球が活動する結果、活性酸素が出たり粘液の分泌が増えたりします。治るとき瘢痕を作ったりすることもあります。本来こうした炎症反応は体を守るために大変重要なものですが、肺や気道の炎症は痰、咳などの症状や酸素の取り込みにくさにつながります。また微小粒子は肺の炎症だけでなく交感神経の興奮や全身の炎症を引き起こし心臓や全身の血管にも病変を起こしやすくなります。

 


PM2.5は石油や石炭の燃焼や自動車の排気ガスだけでなく喫煙によっても排出されます。特に屋内での喫煙はPM2.5濃度がかなり高くなります。(「受動喫煙とPM2.5」に詳しく説明しましたのでご覧ください。)

肺や気管支の病気では炎症の起こる場所や起こり方によって症状が変わります。次回からは肺の疾患それぞれについて特徴を詳しく見ていきましょう。

(謝意:本コラムと「受動喫煙とPM2.5」の資料は日本禁煙学会の提言から引用させていただきました)