2021年12月1日

ビタミンDの作用

 

 最近ビタミンDが話題です。骨に対する作用はもちろんのこと血糖調節、冬季うつの改善、がん細胞の発生予防、アレルギー疾患の改善など様々な効用が言われています。そんな万能なビタミンなんてあるかしら?と懐疑的になる方もいらっしゃるかもしれません。ビタミンDの多彩な作用の要因はその働き方にあります。ビタミンDには


 核内受容体を介して遺伝子発現を調節する作用

 細胞膜受容体を介して細胞内シグナルにより行う作用


があります。の作用から甲状腺ホルモンや副腎皮質ホルモン、ビタミンAとともに核内受容体スーパーファミリーと呼ばれています。活性化され受容体に結合した後、核内の遺伝子発現調節部位に結合します。たんぱく質の合成のスイッチのオンオフなどを行います。ビタミンAとビタミンDは協調しながら細胞の分化を促進したり、異常な細胞のアポトーシス(細胞死)を促したりする作用も持っています。はやや遅い反応の経路です。


 反応の速さが必要な場合はの経路です。ビタミンDが細胞膜の受容体に結合し、cAMPなどの細胞内シグナルを介して細胞内に反応を起こさせます。


 新型コロナウイルス関連ではビタミンDの感染防御と免疫暴走抑制作用が注目されました。ビタミンDはウイルス複製率を低下させる物質を誘導します。またTreg細胞という制御性T細胞の機能を増強します。攻撃と抑制の両方の仕組みを持っている点が自然界の妙味と言えるでしょう。