2010年10月1日

癌の哲学


今回は特別な気持ちでコラムを書いています。私たちの尊敬する金子雅俊先生の講演が620日にありました。今回は金子先生の許可を得てその内容を一部ご紹介しようと思います。
講演のテーマは「Healing Cancer」です。金子先生の講義は知識を授けるのはもちろんですが「何のために治療をするのか」という問いかけをいつもされます。「治療するのはその方の生活を少しでも快適にするためでしょう?」「寿命を全うすることが最も大切ではないですか」そして「癌」も高血圧などの慢性疾患と同じように「生活習慣病」であり、「それが起こった根本的な背景を改善しながら病気と共存するという姿勢が大切ではないのでしょうか」と結んでいます。
金子先生が日本で分子整合栄養医学による治療を開始してから26年経ちます。末期で治療法がないと見放されて金子先生のところに来た方を治療しているうちに「癌はそれほど怖い病気ではないのではないか」「終末期に悲惨な状況になるとは限らないのではないか」と思ったそうです。その中には20年以上たってまだ生存している方もいらっしゃれば、すでになくなった方もいらっしゃいますが、ほとんどの方は家族も感謝する「大往生」だったそうです。「癌と一口で言っても年齢やその方の体力、栄養状態、そして人生観によって治療法はもっと様々でよいのではないか。」「それを適切に選択するのが主治医の役割だろう」と言われました。
「癌に対して特別な気持ちを抱くな」というのは難しい課題です。ですが、栄養療法の命題はいつも同じです。目的は「患者の生活を第一に考え、よい人生を全うするお手伝いをすること」。手段を選ぶときには「科学的に真摯に考え、謙虚に検証しその人にとって最善と思う方法を常に模索すること」。そのための細かい手段として、検査による診断がありサプリメントによる治療があるのです。
 現代医療と栄養療法がいがみ合うのではなく、患者さんの幸福という共通の目的と科学という共通の基盤を持って、患者さんも家族もスタッフもいつも笑顔でいられるような治療を一日も早く実現するよう努力していきたいと思います。

「医療の目的はより元気でより長くhappyに生きること」金子雅俊
(講演Healing Cancer-癌の哲学-から)

おまけ:癌の予防のポイント
   いつも笑顔で幸せな気持ちでいましょう(メンタルストレスを減らす)
   免疫細胞が元気でいられるように心がけましょう(栄養の重要性)
   体を傷つけるような悪い習慣を改めましょう(活性酸素などの対策)