2023年11月1日

ビタミンAをもっと有効活用しよう

 ビタミンDのサプリメントを摂っているという方が最近急速に増えていると思います。では、ビタミンAはどうでしょう。今回はビタミンDと関連して働くビタミンAについて皆様にお伝えしようと思います。

ビタミンADの活性型は、核内にある受容体に結合し遺伝子に働きかけて発現(遺伝子から目的のたんぱく質を作ること)を調節します。ビタミンA受容体やビタミンD受容体は甲状腺ホルモンや副腎皮質ホルモンの受容体と共通の構造を持っているため「核内受容体スーパーファミリー」と呼ばれています。これらがホモダイマー(同じものが二つ結合する)やヘテロダイマー(違うものが結合する)を形成して相互に関連しあいながら発現を調節しています。したがって、どれか一つでも足りなくなると調節バランスが崩れてしまう可能性があるのです。

もともとビタミンAは眼球乾燥症の改善や視細胞の明暗の識別をになうビタミンとして発見されましたが、レチノイン酸というビタミンAの活性型が核内受容体に結合することが解明され、細胞の分化・増殖の調節、精子や胎盤形成、腸管免疫やホーミングと呼ばれる免疫監視機構などに関与していることが判明し重要性が再認識されました。

 ビタミンAの重要性がわかったところで、ビタミンAは脂溶性ビタミンなので過剰症を起こしやすいのではないかという誤解を解いておきたいと思います。ビタミンAの吸収貯蔵運搬は厳密な制御を受けています。貯蔵する時にはエステル型という無害な形になり肝臓のstellate cell星細胞)や脂肪組織、消化管、肺、腎臓などに存在する貯蔵細胞に貯蔵されます。血液中を運搬される時や細胞内に入って活性化されている時にもたんぱく質に結合し、作用が終わればすぐに効力のない形に変えられます。なお、薬のレチノイン酸誘導体は壊れにくいため過剰症があり得ますのでご注意ください。摂取する時は必ず「天然の前駆体(クルードなプレカーサー)」の形で口から摂取しましょう。