腸管全体で100兆個もの腸内細菌が常に生息しているそうです。人間の体の細胞の数は60兆個と考えられていますから大変な数の細菌と共生していることになります。口の中にも同じようにたくさんの細菌が共存しています。
人間の都合で腸内細菌を悪玉菌(害を及ぼす菌)・善玉菌(良い作用を持つ菌)・日和見菌(普段は害も益もないが状況によって悪さをする菌)に分けていますが、悪玉菌や日和見菌が完全になければよいというものではなくて、ある理想的なバランスで存在していることが大切なようです。それぞれの菌種は混じり合わずにお花畑のように集落を形成しています。
最近にわかに腸内細菌が注目されてきた背景には、腸の状態と全身の病気の関連が次々と証明されているという事実があります。関連がほぼ確立した病気には次のようなものがあります
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過敏性腸症候群・炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)
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自己免疫疾患(慢性関節リウマチなど)
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アレルギー(アトピー性皮膚炎など)
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うつや自閉症などの脳・神経性疾患
l 糖尿病
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慢性イースト菌感染症・カンジダ症候群
そこで、善い菌の割合が増えるように努力したいと考えるのは自然なことですね。食物繊維の摂取量を増やすことや定着可能な腸内細菌を定期的に摂ることはとても大切です。カンジダは糖分が大好きなので糖分の摂取を減らしてカンジダが増えないようにしましょう。パンなどに含まれる酵母(イースト)、コーヒーや紅茶に含まれるカフェイン、人工甘味料なども少なめにしましょう。同じものを繰り返し食べないようにする工夫も必要です。
腸の環境や栄養状態が悪いと腸粘膜がもろくなったりバリア機構が破綻して食物アレルギーも起きやすくなります。IgG抗体によって引き起こされる遅延型食物アレルギーは1日から数日後に症状が現れるため、症状と原因食物の関係に気づかないことがあります。
次回は遅延型食物アレルギーについてもう少し詳しく説明することにしましょう。