ホルモンが関係する最もポピュラーな病気の一つが糖尿病です。I型糖尿病ではインスリン分泌細胞が減ってしまうためインスリンそのものが不足していますが、II型糖尿病の多く方はインスリン分泌細胞が残っておりインスリンの分泌能力もあります。
そこで今回はII型糖尿病を治してしまおう!というお話です。
なぜインスリンが分泌出来るのに血糖値が高いのか―理由は主に二つ!
① 血糖が上昇してからインスリンが分泌されるまでが遅い
② インスリンの効き目が悪い
今回は①のインスリンの分泌機構について取り上げ、次回はインスリンの効き目について説明してみようと思います。
下図のようにII型糖尿病ではしばしば血糖値が上昇してからインスリンが分泌されるまでに遅れがあります。インスリン分泌が遅れるために血糖値が最初に大きく上昇します。遅れて分泌されたインスリンで血糖値が下がりきってもインスリンが引っ込むのが遅いために今度は血糖値が下がりすぎます。薬を使ってなくても「糖尿病だけど低血糖もある」という状態は珍しくはありません。
血糖値が下がりすぎるとかなり強い空腹感が起こり炭水化物や糖質が食べたくなります。そこでまた血糖値が上昇下降を繰り返し内臓脂肪も増えるという悪循環になってしまいます。ご飯をやめて肉や魚など血糖値を安定させる食べものに変えたら前よりも空腹感がなくなったという方もたくさんいらっしゃいます。
インスリンがタイミングよく出るためには分泌に関わる栄養素の補充が大切です。膵臓のβ細胞では血糖値が上昇すると次のような順番でインスリンが分泌されます。
①
糖輸送体(GLUT2)が摂りこむぶどう糖の量が増える
②
糖が代謝されエネルギー(ATP)産生が増える
③
ATPの増加によってカリウムチャネルが開く
④
細胞内の電位が変わってカルシウムチャネルが開く
⑤
細胞内のカルシウム濃度の変化によってインスリンを含む顆粒が放出される