2013年1月1日

暮らしに役立つ栄養療法
-遅延型食物アレルギーとLGS(腸管壁浸漏症候群)②-


遅延型食物アレルギーが起こるそもそもの原因として、腸の粘膜の状態や腸の栄養、腸内細菌のバランスが悪くなって腸が本来のバリア機構を果たせなくなっていることが挙げられます。本来腸の粘膜細胞は隣同志と強固に結びついて細胞の隙間を勝手に物質が通れないようになっています。厚いムチン層は物理的なバリアを形成し、ムチン層には消化管内の異物を見張るIgA抗体も多数存在していて、正常な粘膜ではおいそれと異物や毒物が体内に入らないようになっています。




ところが、腸の細胞の働きを助ける栄養素が不足したり、悪玉菌が増えすぎたりするとこのバリアが薄くなったり隙間が出来たりします。また消化能力も低下するので未消化の大きな分子が隙間から体内に入り込んでしまいます。このような状態をLGS(リーキーガットシンドローム・腸管壁浸漏症候群)と呼んでいます。腸内細菌叢の中でもカンジダや酵母は細胞を傷つけやすいのでLGSの原因になります。

LGSの持つ問題点は、              

      大きな未消化分子が体内に入って遅延型食物アレルギーを起こすことがある

      グルテン(小麦蛋白)やカゼイン(乳蛋白)由来のペプチドが脳に作用することがある

      ぶどう糖のような小さな分子は通りやすく血糖値の乱高下を起こす(機能性低血糖症)

      カンジダや酵母、その他由来の有害物質が入り全身に症状を起こす

      腸内細菌の乱れが腸の免疫機構の異常を起こし全身の 免疫に影響する

東洋医学に胃脾を整えるという考え方がありますが、LGSを見ていると腸を改善することが病気を改善することにつながることがよくわかります。食物アレルギー、機能性低血糖症などを持っている人は腸の状態を改善しない限り本質的な改善はないと言ってもよいでしょう。

高蛋白食を開始しても体調が改善しなかったり以前よりも体調が悪くなった方は、LGSに伴う食物アレルギーが原因の可能性があります。腸内細菌バランスを改善し、正常な消化吸収能力、正常なバリア機構をもった腸を作ることからゆっくりと始める必要があります。

次回は健全な腸を取り戻していくにはどうしたらよいかを説明しましょう。